読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

『コロナ後の世界』 ジャレド・ダイアモンド ポール・クルーグマン リンダ・グラットン マックス・テグマーク スティーブン・ピンカー スコット・ギャロウェイ  各著

  世界を代表する知識人6人が、コロナの感染拡大のなかであえてポジティブな側面を見いだすとすれば、「私たちに深く考えるきっかけを与えてくれたこと」とすべて答えたことが印象的(p201)と、あとがきで編者の大野和基氏が記しているように、本著を読んで色々考えさせられた。特に、高齢者と女性の活用については、日本において考えるべき論点かと思う。

  発刊した文藝春秋社のサイト↓

 コロナ後の世界についてまとめた本で過去の読書録からは朝日新書あり↓ 

mrboopapa.hatenablog.com

 

  両方に登場する、ジャレド・ダイアモンド氏「21世紀は中国の時代にはならない」
(カリフォルニア大学ロサンゼルス校地理学教授。著書『銃・病原菌・鉄』:西洋が経済的に優位に立ったのは、人種の優劣ではなく地理的な要因と喝破p10~)から、以下の言葉を引用して残す。

p26:パンデミックが共通の脅威だという認識で一致し、世界が一丸となって解決することができれば、気候変動や資源枯渇といった問題も続けて解決するチャンスになります。歴史から学ぶことで、この危機を乗り越える手立てを得られると信じているのです。

p30:<問題は高齢化ではなく定年退職システム>クリエイティビティが絶頂期を迎えている人を無理に引退させるのは悲劇です。働き続けられるオプションがあるべきです。

p33:<女性を家庭から解放しよう>人口の半分を占め、教育レベルが高くて健康な女性が働ける環境を作れていないことが、日本の問題なのです。

p34:仕事を望む高齢者や移民、そして女性を労働市場に迎え入れれば、少子高齢化が進んでも、日本の経済力が大きく低下することはないはずです。

p40:<ドイツ首相はひざまずいて謝罪>(相手が納得しなければ過去を蒸し返すことになる)(開国や敗戦に比べればたいしたことはない)以前やったように、時代にあわない価値観を捨て、新たな価値観を取り入れればいいのです。

 また、ロンドン・ビジネススクール教授で、著書『ライフシフト 100年時代の人生戦略』で知られるリンダ・グラットン氏も、「ロックダウンが日本人の新しい働き方を生んだ」の中で、以下のように、高齢者の活用を提言している。
p87:<健康を保ちつつ歳を重ねる重要性>高齢化が進行している日本では、”healthy aging”の重要性を社会できちんと認識することが必要

p91:<六十歳は「年寄り」ではない>高齢者は活気に溢れ、社会に多いに貢献できる存在なのです。(私だって現在65で大学教授として働いている)

p97:<人生のマルチステージ化⇒三つの無形資産>長く働くために強みとなる無形資産は、1)生産性(スキル、人間関係、評判)、2)活力(健康)、3)変身(様々な人間と交流)

p102:<日本の男性と企業は意識改革を>男女分担の考え方は、人生百年時代においては時代遅れとなります・・・経済的責任を夫婦で分かち合えば・・・リスクを大きく減らせます

p105:<ポストコロナ時代に重要な4要素>(無形資産に加え)1)透明性(詳しく説明する重要性)、2)共同創造(協力しあいながら未来を築く)、3)忍耐力(自粛を続ける)、4)平静さ(健康とともに精神的に健やかさを維持)

 

 このほか、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』のスコット・ギャロウェイ氏が「パンデミックGAFAはますます強大になっていく」の中で、競合した場合にはたいていアマゾンが勝つp158という指摘がなるほどと思った。

 

 また、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏が「経済は人工的な昏睡状態。景気回復はスウッシュ型になる」の中で、日本の消費増税が悪影響を及ぼしたと断じているp179は、一つの見方として記録しておく。

 
 発刊から1年あまりたち、コロナをめぐって厳しい状況が続く中でも、方向性については意識をして考えていきたい。
 
{2021/8/9月-13金_読了、記入は8/15(日)}