読書録

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70歳! 人と社会の老いの作法 文春新書

 人生100歳まで生きる可能性もあるなか、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略という本が書店に並び、著者のリンダ・グラットン氏が、政府の「人生100年時代構想会議」に起用された。まだ先のようでありながら、60歳から90歳までの30年間が「低成長・高成熟」p43の時期として腰を落ち着けて考える必要があり、であればもうすぐということでもある。「終わりなき老いを生きる」p33を考えないといけない。

 青春の門で親しんだ作家の五木氏と宗教学者としてテレビでのわかりやすい解説を拝見する釈氏との対話が展開する本著は、とても読みやすく、またいろいろ考えさせられた。これまでも接してきた、キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』の五段階説p73や、アドラーの「人間の幸福感とは共同体感覚によってもたらされている」p77なども登場する。
 

発刊した文藝春秋のサイト→ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610846


 いくつか備忘録として引用を以下に。
◇五木 人間にとって、笑いと涙は基本ですね p82
◇五木 高齢者の健康に関する注意事項には大きく二つあって、ひとつは転倒、もうひとつは誤嚥だそうですp143
◇五木 若年層と老人層の階級対立が激化してくるかもp147
◇釈 知恵や財力がある高齢者と、成熟期だからこそ登場してきたタイプの若者(シェアがうまく、公正さを大切に、強欲ではないなど)をうまくつなぐ回路があれば、いいモデルができるp154+つなぐツールとしてSNSp160
◇五木 宗教は死の問題を直視しなければいけない時代に…死後の安心を自分なりに納得できた瞬間に、この世でも人は人生に誇りをもって生きていけるp171
◇釈 ごく普通の家でサポートに工夫しながら暮らす方が、生活する力は落ちない、無理な延命治療は行わず、普通の家で生活していたら、息を引き取るその日まで暮らし抜ける人は多いp178


 この本を読んでいた9月18日(月)夜に、『ありのままの最期 末期がんの“看取(みと)り医師” 死までの450日』( https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92935/2935010/index.html )が放送されていたが、納得して受け入れる、ということについて、考えさせられた。

 また、昨夜(9月22日(金)は、BS1スペシャル「老いてなお 花となる〜織本順吉 90歳の現役俳優〜」( http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115254/index.html )で、娘が捉えた老俳優は、時には自分の思い通りにいかないことで怒る姿など、ありのままが映し出されていた。この番組のラストは、現在、放送中の「やすらぎの郷」を創設した芸能界のドン・加納英吉( http://post.tv-asahi.co.jp/post-22589/ )が登場するシーンで、21木に放送されていて、ちょっと驚いた。このシニア向けドラマも、いよいよ25からが最終週で、28金に最終回を迎えるが、どういう展開になるのか・・・脚本家の倉本聰が語った「老いを得て咲く花がある。そこにいるだけでいいのです」が、この番組のタイトルになっているようだ。


 土曜日中には、両親の誕生会ランチをしたのだが、延命治療はいらないと文章にしたとメモを見せてくれた母、財産分与については、兄弟でこうしたいと説明する父、さらっとした会話の中にも、いろいろと考えていかないといけないのだと痛感した。


{2017/7/16-19読了、記入は23土深夜〜24日}