奇想天外であり得ない設定だと思っていた。ところが読み進めるうちに、これは、介護や家族のいまの問題を考えさせられる作品とわかる。著者の物語展開のうまさに感服し、引き続き読んでみたいと思った。
発刊した幻冬舎のサイト↓
タイトル通りの法案が可決され、義母の介護で疲れ切っていた宝田東洋子(たからだ・とよこ)さんを主人公に、物語が展開していく。友人の言葉(p181)が登場人物を良く捉えていてわかりやすい。名前も合わせてメモしておくことで、思い出せるようにしておきたい。すなわち、
「悪いのは、
・家庭に責任を持とうとしない東洋子のダンナだよ :静夫
・それとショートステイさえ行ってくれない姑 :菊乃p277(呼び方が変わる・・)
・そしていつまでも自立しない息子。 :正樹
・家庭に無関心な娘。 :桃佳
どいつもこいつもいい加減にしなさいよ」
ほぼ悲観的な状況だったのが、ヒロインの家出によって・・・とここはネタバレになるのでやめておくけれども、ハッピーエンドにはなり、読後感としては清々しく、なるほどこういう展開かと、納得する面あり。こちらもドラマか映画に成りそうな気もするのだが。
介護については、しっかりと考えていかなければと改めて思う。
このほか、引用メモをいくつか
p134:子育てや家事に忙しくしていたころが人生の華だったと今になってわかる。年々、体の自由が利かなくなるばかりで、いいことなんかひとつもない
p244:そもそも家族ってなんなのだろう
p317:「仕事は人を変えるよ。たくさんの年寄りを見てきたけど、自分もまだ人の役に立てるんだって実感できると、生きる意欲も取り戻すみたいよ」 ←正樹の同級生・峰千鶴のことば
これまで読んだ著者の本のブログは以下
しばらくこの著者の本は読み進めたい