読書録

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『捨てられる男たち 劣化した「男社会」の裏で起きていることSB新書545』 奥田 祥子 著 

 「無自覚ハラスメント」が、無批判に内在化された「男社会」の価値観にあることが問題だと、さまざまな事例を紹介して、警鐘をならしている。同じ取材対象者へのインタビューが、最長で20年にわたるというだけに、厚みがある内容となっている。

 

発刊したSBクリエイティブ(2021.6)のサイト↓に目次あり

www.sbcr.jp

 本著のp134に、1989年に日本で初めて職場でのセクハラを争点にした裁判が起こされてから20年近くたつのに、セクハラは後を絶たない・・職場は依然として「男社会」と指摘する声を紹介している。

 この初の裁判については、今年1/24日に放送されたTV番組でテーマとしていたが、「一部メディアが晴野さんを猛烈に批判。逆風にさらされる中、裁判は意外な展開を見せる。当時の裁判長が判決の舞台裏を独白。歴史を変えた逆転劇」ということは、全く知らなかった。↓にメモ。

www.nhk.jp

 第4章で取り上げられた「モラ・ハラで家庭喪失」p150-というのも、妻の出世で敗北感を覚えた夫が、「職場のような家庭で心安休まらない」と言う対応で、逆に妻が夫へのDVを働くようになり、モラハラを自覚したというのは、余に悲しい。

 脱却のカギは、「異文化理解と意思疎通」p192と紹介しつつ、p212から、無自覚ハラスメントを起こすことのない良好な関係を築くためには、

1)価値観の違いを受け入れ、相手の立場になって理解しようと努めること

2)承認欲求の水準を下げるとともに、自己効力感を高めること

3)相手にに対して求める役割期待の度合いを低く見直すこと

等をあげている。

 生きづらさの本質として

女性は「能力発揮、成功、上昇の機会が奪われたり制限されたりする」社会的達成の阻害にあるのに対し、男性は、「能力発揮、成功、上昇へと駆り立てられる」社会的達成のへの脅迫にある、という社会学者 多賀太の分析を、優れていると紹介している。

 そしていまや、男性の生きづらさの本質は、「達成不能な己に対する絶望にまで深刻化してきている」p222とのこと。

 

 なお著者の本は4冊目。継続してテーマにしていたこと辿ることが出来る。前回のブログで過去紹介をまとめたので、前回の投稿内容のみ以下にリンクをのこす。

mrboopapa.hatenablog.com

 捨てられないようにしたい・・・

 

{2022/1/31月-2/1火:読了、記入は2/4金夜}