読書録

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『夫婦幻想 ─子あり、子なし、子の成長後』 奥田 祥子 著

 

 著者の本はこれで3冊目だが、聞き取りを通して数多くの事例が紹介され、それをアカデミックな論考で裏付けて分析していて、とても参考になる。にしても、夫婦の関係というのは、なかなか難しいものだ、と改めて実感する・・・

夫婦幻想 (ちくま新書)

夫婦幻想 (ちくま新書)

 

 印象に残った部分を一部引用して以下に

◇p60:妻が仕事で能力を発揮し、出世の階段を上っていくことは、夫に「引け目」を抱かせ、自身を追い詰める要素となっているケースが増えていることを、インタビューを通して痛感した。

◇p160:<熟年期に試される夫婦のありよう>夫婦が婚姻関係を維持しながら、互いに干渉せず、自立して生きていく「卒婚」が、2000年代に入ってからメディアで取り上げられるようになった。「卒婚」を実現するには、夫婦がそれまでいかにお互いを認め、思いやりや信頼、感謝の念を抱き合いながら、夫・妻として、父・母として生きてきた我が問われる。(中略)それは決して容易なことではない。+p208:夫婦相互の信頼や愛情、思いやり、個々の精神的な自立などが必要となるが、逆に・・・離婚に至るケースが大半だ。+p216:現代を生きる夫婦は意識して十分にコミュニケーションを図るよう、ともに努力しなければならないのだ・・・円滑で頻度の高い会話を交わし、深い愛情を注ぎ合い、レジャーなどを通した感動体験を共有するといった情緒関係の安定化がどれほど大変な作業であるか、言うまでもない。

◇p236:夫婦幻想から抜けだし、真の意味での絆を取り戻すためには、夫婦関係を再構築する、すなわちリストラクチュアリング(リストラ)しか残されていないのである。・・・そのために何が必要なのか?心の持ちよう、意識改革など内的な面と、長時間労働の是正や柔軟な働き方、子育て支援といった、仕事と家庭生活を取り巻く環境整備など外的な面から・・・

 

 アカデミックな部分で以下参考

◇夫が仕事、妻が家族という性的役割分業の『戦後家族モデル』の解体p213は1998年を境に(山田昌弘2005)家族のリスク化

 

 発刊した筑摩書房のサイト↓

www.chikumashobo.co.jp

 

 本書の検索で、今回は、要約サイトが上位でヒットした↓

www.flierinc.com

  元新聞記者で近大教授の著者は、時代を切り取ったタイムリーな内容を世に問い、いろいろ考えさせてくれる。さらなるご活躍を期待したい。

<これまで読んだ著者の本> 

mrboopapa.hatenablog.com

 

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 {2020/02/02_04読了、記入は2/8(土)}