読書録

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『ルポ婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア光文社新書1121』 筋野 茜 尾原 佐和子 井上 詞子 共著

 サブタイトルの「悩む親」で、まだ子は20代ではあるが、同世代に”初孫かわいい”との話を聞くようになり、今の状況を知ろうと手に取る。共同通信の女性記者3人が、自らの状況も紹介しながら取材をすすめ、帯や冒頭&サイトにある

住職がサポートする「寺コン」や、我が子に代わって親が相手を探す「代理婚活」

など、驚きながら読み進めた。

発刊した光文社(2021.3)のサイト↓に目次あり

www.kobunsha.com

 本著のもとは、共同通信が配信した連載企画「婚難の中で」を基に加筆、追加取材した(p221)とのこと。きっかけについて、冒頭、筋野記者は2006年に前職の朝日新聞奈良支局3年目25歳の時に書いた「あきらめさせないで」という記事を読み返した2016年の心境から綴っている。当時、『東京タラレバ娘』が話題になり、テレビ化されて未婚や結婚への関心が高まったことが記事化のチャンスだと考えたという(p6)。確かに,このドラマは話題にもなり、そこから漫画が原作だとも知ったことを思い出した。検索するとサイトが残っていたので、以下↓

www.ntv.co.jp

 続いて第2章「夢見るシニア」を書いた尾原記者は、1986年の男女雇用機会均等法第一世代の入社で、自身も伴侶との別れを経験して50代シングル、シニア世代になったことで「自分の問題としても、取材を進めることにした」(p76)と吐露している。 この世代は、

p72:「女性は家にいて、家事育児をすべき」という社会規範と、「男性同様に働く時代になった」という二つの矛盾するメッセージに女性たちは揺さぶられ続けた。女性自身も「愛する人と結婚し、家庭を持つことが本当の幸せ」という価値観から自由になれなかった。・・(略)・・30年以上が過ぎ、働く女性は増えたが、今もその構造自体は根強く残っているように見える

ということなのだろうと、周りをみていて同感だ。

p106:シニア婚活イコール幸せを感じる準備ーと考えれば悪くない。

とこの章を結んでいるが、明るい夢を見続けたい、というのはそうだろうと思う。

 

  本著では、さまざまな取材先やサイト、それにデータが紹介されていて、子どものことを考えると参考にもなるかと思い、まず列挙してメモしておく。

▽寺コン主催、吉緑会の事務局長は、龍雲寺(りゅううんじ・浜松市)の木宮行志住職(p24)

佐賀県がまとめた「婚センサスBOOK」=企業が社員の結婚を応援する際の注意点で「結婚する気はないの?」等聞くとパワハラの可能性(p50)

▽親の代理婚活イベント「良縁の会プロジェクト」を主催するミサワホームの子会社メディアエムジー(p110) 

▽炎上する昭和の価値観=政治家の問題発言(p137-139)当人としては本音に近いかも
・2018/6二階自民幹事長「皆が幸せになるためには子どもをたくさん産んで、国も栄えていく
・2019/5桜田五輪相「子どもを最低3人ぐらい産むようにお願いしてもらいたい」
・2003森首相「子どもを一人も作らない女性が好き勝手、自由を謳歌して、年を取って,税金で面倒を見なさいというのは、本当はおかしい」
・2007柳沢厚労相「女性は産む機械

▽選択的シングルマザーの研究交流会「SMCネット」、「女性と子育て研究所」の高田真里代表(p158)

▽NHKニュース公式ツイッターで「『平成JUMP』という言葉を聞いたことがありますか?」に否定的コメント多数:平成を結婚せずに過ごし令和を迎える(p175)

▽戦国武将のキャラと疑似恋愛ができるスマホアプリ:ボルテージが配信する「天下統一恋の乱 Love Ballad」(恋乱)(p177)

▽結婚相談所「ツヴァイ」の婚活パーティで、リストバンドつけ握手するとタブレットにプロフィールが表示、2回目の時間では、「共働きを希望するか」など質問も表示される(p190)

▽結婚準備クチコミ情報サイト「ウエディングパーク」(p194)アンケで72.8%が結婚したい、49.8%が25歳前後でメリットと早婚プラスイメージ+「信用」「将来」「準備」「老後」など堅実なワードが並ぶ

▽結婚相手紹介サービス「オーネット」(p199)意識調査で、コロナで4割近くの人の結婚願望が強くなったことがわかる

▽LMO(エルモ/福岡市)オンライン婚活で人気、高田社長、会ったその日にプロポーズも(p202)

 

 印象に残った言葉から以下を引用

p34:愛子さんが口にした「結婚と就活は似ている」

p54:(津波に妻をさらわれて失った50代の男性、別れ際の言葉)「筋野さんも好きな人ができたら一緒になってほしい。別れるときがくるけど、夫婦や家族ってかけがえのないものだと思うんだ」(p221の”あとがき”でも、「もう一度かみしめてみたい」)

p131:息子がなぜ結婚しないのか理解するために、わざわざ「婚活サポーター」になる・・(略)・・内孫が欲しい、というのも素直な気持ちなのだろう。

p209:(自由な時間がもてて羨ましく思っていたが)「こういう不安ばかりの時代になって、家族が心の支えなっていると実感した。お兄ちゃんもそういう人を真剣に探してみたら」(と妹からアドバイス

p213:最後に、令和の時代こそ、老若男女みんなが子どもや後ろめたさを感じることなく、自分で選んだ人生を歩めるような寛容な社会になってほしい

 自分を振り返ってみても、30歳になる数年前から、実家から結婚をしないのかと迫られ続け、最後にはお見合いをセットすると言われたことを思い出す・・・自分の子どもには、どう接していけば良いのだろうか、まだ時間的余裕があるのか?考えてみたい。 

 

{2022/1/2/1火-3木:読了、記入は2/5土}