読書録

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結婚クライシス 中流転落不安

結婚クライシス: 中流転落不安

結婚クライシス: 中流転落不安

 本著は、毎日新聞に2011年から連載された「くらしの明日」や婚活に関わる内容が再構成され、少子化や女性活躍など社会問題にタイムリーな視点が示されている。
 これまでも、「パラサイトシングル」(1997年)、「希望格差社会」(2004年)、「婚活」(2007年)、「若者の保守化」(2011年)など、わかりやすい用語で時代を切り取ってきた。
 今の社会状況を表すのは、最新刊のタイトル=「結婚クライシス」で、「結婚しない」「結婚できない」「結婚したくない」状況をわかりやすく説明するとともに、その背景にある日本の社会意識を「中流転落不安」と特徴づけている。
 

発行した東京書籍のサイト⇒ http://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/81008/


 備忘録として以下を引用、少子化対策への論点など著者の見解も。
配偶者控除は富裕層を優遇する制度で所得格差を助長するため、夫が低収入で無職の妻のみを支援する制度にかえた方が合理的 p33
育児休業制度は、正規雇用で同一職場という正社員や公務員など出産女性の2割未満で、フリーや自営業者に拡大するなど根本的改正が必要 p53+期間も諸外国のように数か月から1年と短くて良いから全ての親が職業継続の保証と休業期間の所得補償を得られる形で再構成が望ましいp61
◇希望の持てる若者と持てない若者に二分化という「希望格差社会」は、新卒一括採用の慣行と、正社員と非正社員との間の大きなギャップがこ10年変わっていない。(日本では希望をもつ若者は6割強で最下位、米9割、韓8割強)p83
◇女性活躍推進は、男性の働き方の見直しがない限り絵に描いた餅で、男女とも長時間労働をしなくても管理職に昇進し、結婚できるような施策を進める必要があるp103+女性も管理職になれば実力がより発揮できて楽しいというローモデルを見つけて広げることも必要。p105
◇2008年に白河桃子さんとの共著で、東京でも年収600万円以上の男性は3.5%としかいないと2003年の調査データを入れておいたら、森三中が「年収600万円以上3.5%、だから早くしないといなくなっちゃう」というネタにしていたp149
◇1980年代に流行った「恋愛マニュアル」や「恋愛ドラマ」は、20年たったいま姿をけし、「若者のテレビ離れが進んだせいか、古き良き時代を描く朝ドラや、刑事・企業モノが幅をきかすようになる」p181
◇「男性が主に稼いで家族を養う」ことにこだわり続ければ、婚活は限界が来る⇒周りの人の意識が変わり、若い人の経済状況を良くして、恋愛に希望が持てるような環境を考える必要があるp189


 なお、この読書録で、著者の名前で検索すると、以下の一覧に。
2015-10-18 『世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド』 山田玲子 著 [学習][経済]
2014-01-22 『新・資本主義宣言』 水野和夫/古川元久 編 [経済][社会]
2010-02-19 『学歴分断社会』 吉川徹 著
2008-09-22 『親の品格』 坂東眞理子 著
2008-05-11 『格差社会スパイラル』 山田昌弘 伊藤守 著
2008-02-16 『夫と妻のための新・専業主婦論争』
2008-02-14 『父親力』/正高信男
2007-09-25 少子化社会/山田昌弘
2007-09-08 パラサイト社会のゆくえ/山田昌弘 

{10/8読了、記入は11/6}