読書録

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夫婦格差社会

夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)

夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)

日本社会の高齢化と少子化にどう対応していくのか、が大きな課題だととらえている中で、本著がデータで示す結婚と夫婦の現状を見ると、どういう将来像を描いていけばいいのか、難しさを痛感する。
あとがきに簡単な要約として、かつては皆婚社会で夫の所得が高ければ妻は働かず低ければ働くことで家計所得の平準化に寄与したが、最近は、夫とは無関係に働く妻が一般的になって格差拡大を助長している。背景には、高学歴・高水準職業or非正規労働の女性の存在、誰と誰が結婚するかが複雑にからみ、★夫婦間の格差を決めるのは女性、あるいは妻の就業次第という時代★とまとめている。
この直前に読んだ山田太一氏の子どもとの関わり方もあわせて考えると、成人になったものの、就職・結婚とこれから課題がいろいろあるわけで、社会としてどうしていくのか、考えていかないといけない。


出版した中央公論新社のサイト⇒ http://www.chuko.co.jp/shinsho/2013/01/102200.html
セブンネットには目次あり⇒ http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106239539/


印象に残ったポイントを以下引用
◇(夫の所得が高ければ妻は働く確率が低いという「ダグラス・有沢の第二法則」は崩れ)夫と妻が双方とも雇用者であれば、20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて、妻の所得が夫の所得を補完して家計所得を平等化する時代は終わり、むしろ格差拡大・不平等化に寄与する時代になっているということだp28
◇一夫一婦制採用の根拠は、1.子どもを養育する義務を一組の男女で明確にする、2.性の乱れを防ぐ、3.弱者保護+相手に求める基準として、違った点を補う「相補説」と、似たもの同士の「類似説」があるp40-42
◇晩婚・未婚・離婚原因の3仮説として、1.女性の自立(家事育児に魅力を感じない)、2.相対所得(将来にわたって安定した生活設計ができない)、3.つりあい婚(ミスマッチング)で、加藤彰彦氏の検証では、1不支持、2部分的支持、3指示p43-46
◇理想の男性像が、三高(身長、学歴、収入)から3C(Comfortable快適な、Communicative通じ合える、Cooperative協力的)p49
◇結婚のメリットとして、日本では、★「子どもや家庭が持てる」に次いで高いのは、「精神的安らぎの場が得られる」、この二つに凝縮p61→国や社会の視点から、「子どもを持つ」ことが労働力と内需拡大による経済成長率につながるp136
◇教育の名門大卒、非名門大卒、その他の三極化があり、「名門校と非名門校との格差が、その後の人生を決める程度が強い」認識が強くなり、結婚相手や恋人の条件としても大きく影響を与えていると予想p68→データで名門大で学ぶ女性は同クラスの大学卒を希望するp70→旧帝一工(旧帝大と一橋と東工大早慶を卒業した女性は同グループと結婚を望み実現:パワーカップルを形成p73→医師同士の夫婦が日本の代表例だが、今後は管理職同士、経営者同士も増えるかp98⇔ともに低学歴かつ低収入で貧困にあえぐ若年夫婦が現在のウィークカップルの典型例p109
◇結婚したいのに結婚できない=最大の弱者の理由として、1.適当な相手にめぐりあわない、2.結婚資金が足りない、3.親や周囲が同意しないというのは回答が少なく障害になっていないp114-117
◇(若者の失業率が上昇し非正規が増えそこそこの生活でいいという意識変化の中で若者対策として)1.最低賃金のアップ、2.同一価値労働・同一賃金の原則に近づける、3.非正規を正規に雇用できるような労使関係、4.ワークシェアリング、5.学校教育で職業・技能教育を徹底的に行うp132-135
出生率を高めるための政策として、1.結婚率を上げる+婚外子への理解、2.子どもを社会で育てる視点から手当の充実、3.女性を助ける子育て支援策の充実(育休、処遇が不利にならない、保育条件)で子どもを公共財として育てる精神を強くするするため税負担を容認する必要あり、4.家事と育児で夫の貢献が必要p140-142


{1/5-10読了、記入は12}