読書録

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データで読む平成期の家族問題

副題にある「四半世紀で昭和とどう変わったか」をテーマに、統計データに加え、新聞の相談内容などを分析して、家族問題を浮き彫りにしている内容。巻末には朝日新聞東京版をもとにした年表も掲載され、資料価値は高い。調査大勢で見る限り、離婚による夫婦の危機という状況ではなく、制度としての婚姻は健在ながら、出生率が続くと2080年代には人口が半減するという推計(p25)については、「教育費と医療費をゼロに近づけて生活不安をなくすp212」とし、デンマークノルウェーのように、所得税50%、消費税25%と高い一方、老後の心配がないが地味な暮らしもあると紹介し、いまの贅沢な物資と快楽に振り回されているのではないかと指摘する。意識改革と制度改革が必要で、目指すところは「結婚・出産・仕事」をセットにして確立し、中でもまずは「安心できる保育手段」を確立すれば結婚や出産がついてくる。「革命に近いほどの社会改革をしなければ、日本人の文化も人間も自然に消滅してしまうことを自覚すべきではないだろうか」という結語は、重く受け止めないといけないと思う。


朝井新聞出版のサイト⇒ http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16367


備忘録として以下、引用。
◇平成25年間のめぼしい出来事プラスとマイナス
プラス 1.土・日休業制度の普及、2.共働き家庭がはっきり過半数を超える、3.都市ではイクメンの波が起こる、4.パソコン・ケータイの急速な普及、5.介護保険制度の創設と一般化…
マイナス 1.不況が長引き正規の就職収入が困難化、2.生活難家庭が多発(とくに母子家庭、高齢者世帯の貧困化)、3.高齢化が急増(とくに認知症、介護問題が増加)、5.いじめ、虐待など病理現象増加…

◇平成12年度まで発表されていた離婚申し立て動機の都道府県別集計結果p83
⇒夫が暴力を振るう、酒を飲みすぎるのどちらも上位5位内が、鹿児島、宮崎、高知、近いのが岩手と和歌山
←差異は小さく地域的には均質的:2011と1966の比較で、夫も妻も「性的不調和」「精神的に虐待する」が2倍から4倍に増え、相手が「異常性格」という声も3〜4割増えた。「性格が合わない」を含めた4つの精神的・心理的・性的因子を合計すると、夫は73ポイントから101ポイントへ、妻は48ポイントから86ポイントへ大きく増加し夫婦の数値が接近。一方、同居に応じないや異性関係など、人間関係や経済的な原因は比較的軽いものになってきた。(2011年のトップ「性格が合わない」夫60.5%、妻43.6%) 

◇新聞投書による相談で、「本人の悩み」が多く、「紛争性」が少なくなってきた背景に、「自己複雑性」という肯定的否定的両面の見方をしてしまうところがある。金子優香里氏の考えを借りるp103

◇常勤の妻を持つ夫の育児遂行割合で、保育園の送迎、食事をさせる、寝かしつける、おむつを替える、などの項目で妻が専業主婦の場合を上回る。週1〜2回以上行う夫の割合は、ゴミだし42%、買い物40%、掃除や風呂洗い、洗濯、炊事、あと片付けは30%以下p110

◇2008年の朝日新聞の調査で、結婚している人の「不倫」について、どんな場合でも許されない48%、許されることがある45%と二分され、世論が寛容になってきたp112

{12/19-21読了、記入は27}