読書録

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真実 私は「捏造記者」ではない

真実 私は「捏造記者」ではない

真実 私は「捏造記者」ではない

 本書で浮かび上がるのは、従軍慰安婦問題をめぐる報道の問題ではない。むしろ「ネット社会の脅迫の匿名性」や「メディアの検証能力の不徹底」など「幾重にも浮かぶこの社会の病理」だ。これは、保阪正康氏が書評で分析している内容だが、同じような印象を持った。
 


発刊した岩波書店のサイト⇒ https://www.iwanami.co.jp/book/b262754.html

朝日新聞書評紹介サイト⇒ https://book.asahi.com/article/11594085



 著者をめぐっては、産経やネットなどで、「1991年8月11日付の朝日新聞で、従軍慰安婦を名乗る韓国人女性の記事を書いたことが始まりで、強制連行されたかのように紹介して捏造、日韓関係の惨状を招いた」というバッシングの典型p150が展開され、挺身隊と慰安婦を混同した誤報が問題だとされた。

 その経緯と実際については、本著に詳細が掲載されているが、産経新聞が2015年8月4日に掲載した著者へのインタビュー記事が8月29日からウェブ連載されて今でも読むことができ、また、本書でも紹介されているように、LITERA のサイトで、「産経新聞従軍慰安婦報道」のみっともない真実」の2回の連載、NAVERのまとめも見ることができる。p171


◇産経ニュースのサイト⇒ 【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(1)】「阿比留さんだからと逃げることはない」 https://www.sankei.com/premium/news/150829/prm1508290007-n1.html

慰安婦問題で右派からリンチ受けた元朝日・植村記者が産経の阿比留記者に反撃! 産経側の失態を次々と暴露 http://lite-ra.com/2015/09/post-1528.html

◇「韓国人慰安婦を強制連行」と書いたのは朝日でなく産経新聞だった! 植村記者に論破され阿比留記者が赤っ恥 http://lite-ra.com/2015/09/post-1529.html

NAVERまとめ:産経新聞の【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報】がすごい件  https://matome.naver.jp/odai/2144099251913399401

NAVERの別のまとめでは、当時の紙面も掲載されていて資料的に詳しい:
【検証用資料】「産経」新聞の「従軍慰安婦報道」報道の歴史にキラキラと輝くスーパー大失態
更新日: 2018年04月28日⇒ https://matome.naver.jp/odai/2145673128915724101
 

 本書で引用されている「日本の歴史家を支持する声明」2015年5月については、イミダスのサイトに掲載あり⇒ https://imidas.jp/topic/detail/C-00-405-15-05-G221.html 著者が心を打った部分p194を引用:「過去の過ちを認めるプロセスは民主主義社会を強化し、国と国の間の協力関係を養います」


 著者が授業で使うドイツのヴァイツゼッカー大統領の演説「荒れ野の40年」の一節を岩波ブックレットNo.55から引用して紹介しているp214。本書の発刊後、トランプ政権が発足し、ますますこの言葉の意味を考えないといけないと感じたので、ここに引用しておきたい。
ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたてつづけることに腐心しておりました。若い人たちにお願いしたい。他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。(中略)若い人たちは、たがいに敵対するのではなく、たがいに手を取り合って生きていくことを学んでいただきたい」


 なお、この関係では裁判が続いているが、本書でも紹介されている「植村裁判資料室」は⇒ https://sites.google.com/site/uemuraarchives/home
 この中に「産経新聞訂正問題」のカテゴリーがあり、
https://sites.google.com/site/uemuraarchives/sankei-teisei01
先月から今月にかけての動きの掲載もあり↓見出しと一部を引用して紹介。
■産経調停は不成立で終結 2018年7月2日:産経新聞に寄稿した櫻井よしこ氏のコラムに誤りがあるとして、植村隆さんが産経新聞を相手取り訂正記事掲載を求めて東京簡裁に申し立てていた調停は、7月2日、不成立で終結した。
■産経が訂正記事を掲載 2018年6月4日:ジャーナリスト櫻井よしこ氏が4年前に産経新聞に書いたコラム記事が、6月4日、同紙朝刊2面で「訂正」された


 騒ぎになる時はネットでも大きく取り上げられるが、その後の動きについてはなかなかフォローできず、印象だけ残っていることがある。なにが真実でどういう状況になっているのか、きちんと把握しておきたい。

 書いているのは、台風12号が東から西へ進むという、これまでにあまり見たことのない動きをしている状況。西日本豪雨や酷暑など、地球温暖化と関係も指摘される異常気象が続いている。被害や影響がありませんように。


{2018/7/14-18読了、記入は7/28}