読書録

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時計の科学 人と時間の5000年の歴史 ブルーバックス B-2041

時計の科学 人と時間の5000年の歴史 (ブルーバックス)

時計の科学 人と時間の5000年の歴史 (ブルーバックス)

 5000年に及ぶ時計の歴史を紐解く内容で、知らなかったことが多数あり、ひきこまれた。はじめにp8〜9で、時計に必要な1)エネルギー源、2)振動部、3)表示部、が必要だと図解も示されるが、その後、カンギ車やアンクル、テンプといった細分のこれまでの改良の歴史など解説されている。「脱進機」の構造p63など、何度か読み返して、はてさてどこまで理解できたか・・


 置くクロックは独仏蘭で、携帯用のウォッチは英米スイスで多数つくられp91、電池式ウォッチは日本のシチズンが電磁駆動機構を開発p114、「オープンタイプステップモーター」はセイコーが特許p145など、日本のメーカーも加わり激しい開発競争の歴史があったことを認識する。1964年の東京五輪で、100分の1秒まで計測する電子時計システムをセイコーが完成させたp182ということだが、ファウル判定装置など、フライングのルールが見直される可能性があるp187というのは、次の東京五輪に向けどうなっていくのだろうと興味を覚えた。


発刊した講談社のサイト⇒ http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065020418


 その後、LED、液晶などのほか、電波時計原子時計など、超高精度時計が生まれていく中で、六十進法十二進法ながら補助単位が十進法というのも変で、時の概念そのものも変えるかも知れないp204ということは、今後も目が離せない。コラムで日本でサマータイムが導入されない背景に、戦後1948年から4年間「夏時間法」を体験したときの「早起きで寝不足」「労働時間が長くなった」などマイナスイメージがあったp228、ということも本書で知った。


 あとがきp232で、和時計の最高傑作と称される「萬年自鳴鐘」を製作した田中久重氏が登場し、1873年に田中製作所を設立、のちに芝浦製作所に改称され、東芝の重電部門の前身になったことが紹介されているが、どっかで見聞きしたと思ったら、先日訪ねた、川崎にある東芝の展示施設で、紹介されていたことを思い起こした。どちらかといえば子ども向けの体験施設なのだが、歴史コーナーもあって楽しめた。


 それにしても技術の世界は奥深く、時計をめぐる冒険を味わうことができる一冊でした。


{2018/1/22-24読了、記入は28日}