読書録

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スノーデン・ショック 民主主義にひそむ監視の脅威

スノーデン・ショック――民主主義にひそむ監視の脅威

スノーデン・ショック――民主主義にひそむ監視の脅威

 けさ(7/16)のサンデーモーニングで、“共謀罪”関連で、スノーデン氏がインタビューで登場し、「『普通の人間だから怖くない』こういったプロパガンダナチスドイツも使っていた」として、監視への警鐘を鳴らしていた。本著は、そのスノーデン氏が暴露した文書から、いまの監視の実態が何を意味するのか、またどう対応していくべきかなどを論じている。

 ただ、英訳の流れからか、少しわかりくい流れや表現があったが、訳者を代表して、田島泰彦上智大学新聞学科教授が、「あとがき」で「とりわけ興味深く感じれた」(p158)まとめてくれているので、以下に一部を引用する↓
「私たちが現代の監視に向き合うとき、
一つは、監視される市民の透明性が増す一方で、監視機関の可視性は服亡くなるというパラドクスが進行していること、
また、市民は監視のターゲットであるだけでなく、携帯電話やソーシャルメディアの利用などを通して監視に関与し、参画する存在であること、
さらに、監視の改善、克服のためには個人の権利の充足にとどまらず、公共的ヴィジョンの再構築が欠かせないこと、などの指摘を本書で読み、私にはとりわけ興味深く感じられた」とのこと。


出版した岩波書店のサイト→ https://www.iwanami.co.jp/book/b262334.html


 備忘録としていくつかメモ
◇調査報道のジャーナリストはテロリストやハッカーと並んで脅威とみなされている…ある機密資料は、軍事諜報官らに対し、「あらゆるタイプのニュースメディアを代表しているジャーナリストや記者らは安全への潜在的脅威だ」と注意しているp113

◇暴露によって浮き彫りになった類の監視は、一方で情報集約型でしばしばインターネットに関係し、他方で「国家安全保障」志向型であるp134

◇スノーデンの暴露は、国家主導の監視がいかに拡大しているかを示すという正真正銘の偉業だった。p145

◇マクロレベルで重大な問題は、新しいメディアの全ての利用者をどのように保護するか、監視の任にあたる人々がどの状況でも透明性や説明責任を追求することをいかに保障するか、ということだ+NSA報告書中の勧告で、プライバシー、人権、民主主義のつながりを強調し、「インターネットは安全で開かれていなければならないと主張する p148


 
 本著では、論文のように、参考文献と注が充実していて、巻末から横書きスタイルで35ページある。その中で、「サイバースペース」の説明で、ウィリアム・ギブソンの『クローム襲撃』に加えて、『ニューロマンサー』(ハヤカワ文庫SF 1986年)が取り上げられていた(p20)のが、当時、パソコン通信時代ではあったが、この名前のハンドルネームの方がいて、いろいろ教えて戴いたことを思い出した。由来についても知ろうと読んだが、まさにサイバースペースが登場していて先進的な内容だったことを思い出す。
 また、オーウェルの『1984』が、本著の中でたびたび登場してくるが、これもかつて読んで、相当な衝撃を受けたもので、久しぶりに読んでみたくなった。


{2017/7/11-14読了、記入は16日深夜=17月祝未明}