読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

集団的自衛権のトリックと安倍改憲 

集団的自衛権のトリックと安倍改憲

集団的自衛権のトリックと安倍改憲

憲法記念日だが、集団的自衛権との関連で、憲法改正をめぐる論議が続いている。
本著は、1992年から東京新聞防衛庁取材を担当している著者が、集団的自衛権をめぐる論点を解説した内容。


目次や著者からのメッセージなどは、出版した高文研のサイト⇒ http://www.koubunken.co.jp/0525/0522.html


イラクに派遣されたヒゲの隊長が主張する『超法規的な「駆け付け警護」論』の原点が、カンボジアPKOにおいて、選挙監視員となったボランティアの安全確保をするため、≪襲撃されたら駆け付けて撃ち合いの現場に飛び込み、当事者となることで正当防衛を理由に武器使用する手法を考案して口頭で命じたp51≫という、『無茶な命令』だという。
著者は、カンボジアでもイラクでも安定した状況に変化がなく、駆け付け警護が必要になる場面はなかったと紹介したうえで、「政治に求められるのは、自衛隊の活動が憲法の規定から逸脱しないよう見極めて派遣の是非を決め、送り出したなら注意深くみつけ続けることではないだろうか」と主張している。


また、民主党政権下で2年間防衛相を務めた北沢俊美参議院議員が、2013年2月20日民主党近現代史研究会で述べた発言として「一番心強かったのが憲法九条。中国の動きが激しくなる、米国にもどう対応すればいいのかという狭間で、憲法九条があるから『そこのところまで』となる。憲法九条が最大のシビリアンコントロールだったとしみじみ感じるのです」p113を紹介している。本著の副題にある「国のかたちを変える」可能性は確かにある。


これらの論点は、正直、どう考えるのか、極めて難しいと思う。駆け付け警護では、派遣された現場で危険な状況がなかったわけではなく、それを曖昧なままにしておいて良いのか、という問題が残る。
この読書録で以前に紹介した『戦争の条件』(藤原帰一 著)http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20140112 が書いているように、国際社会における安全保障をめぐる環境は変化してきている。そうした中で、何が正しいのか、『すべてhalf truth』という見方で、いろいろな論点を見ていく必要がある。


{4/26〜5/3読了、記入は10}