読書録

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リスク・リテラシーが身につく統計的思考法

エイズ検査や乳がん検診など、具体的な医療の世界を事例に、統計や確率の数字が、いかに表現の仕方によって騙されやすいか、また、ベイズの法則など、仮定のうえでの確立を新しい事実にもとづいて修正する手続きなど、学ぶことが多い一冊だった。


著者が最後に改めて引用している、ベンジャミン・フランクリンの「死と税金のほかには、確実なものは何もない」とウェルズの予想「そのうち、統計的な考え方は、市民生活にとって読み書きと同様の不可欠なものになるだろう」。この夢の実現のためには、知ることと勇気で、カントの呼びかけ「知る勇気をもて」は心に留めておく必要がある。p372-3


出版した早川書房のサイト→ http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/90363.html
内容については、はてなブログに記載されている方あり→ http://kany.hatenablog.com/entry/20111208/1323439713


印象に残ったポイントをいくつか引用
◇p21「リスクについて考え、語るときには、確率でなく頻度を使え」p85「リスクの表現を確立から自然頻度に変えることである」
←治療効果の説明で、相対リスク減少率は効果を大きく、絶対リスク減少率は逆に小さく見せることができるp312。考え方の学習としては、ベイズの法則より、自然頻度に置き換える方法の方が記憶に残り定着するp367

◇『訴追者の誤謬』は一致と有罪ではない一致を誤解するp257、O・j・シンプソン裁判

◇目盛の選択は確率判断にも影響を及ぼし、大きな確率を使った方が確率が高くなるp294

◇『アダムとイブ、明日太陽が昇る確率+ベース・レート(基準値)の誤り』p320〜、問題;病気の診断方法で、ある人が病気にかかっていれば90%の確立で陽性、かかっていなくても1%の確立で陽性と出る。人口のほぼ1%がこの病気にかかっている。検査で陽性と出た場合、ほんとうに病気である確率は?→仮定の病気の自然頻度ツリーを使えば、100人で病気は1人で陽性、病気でない99人中、陽性は1人で、正しい答えは50%。条件付き確率で示すのではなく自然頻度で考えれば、認識の誤りを正す可能性がある。

◇『モンティ・ホール・プロブレム』(パレード誌)論争p329〜、3つのドアの問題;1つにあたりがあり、司会者がはずれの1つを開けた後、回答者は変えた方が、3つのケースのうち2つで賞品を獲得できる。←可能なケースを考えると理解できるか?この問題はとても不思議な印象を受ける。

{5/4〜10読了、記入も同日}