読書録

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『テレビが映しだした平成という時代 (携書212)』  川本 裕司  著

 

 朝日新聞のメディア担当編集委員を経て記者を続けている著者がまとめたテレビの平成史。ドラマ/アニメとバラエティ、それに報道番組と、3つの章をたてて、それぞれ代表的な番組を振り返っていて、テレビの隆盛から曲がり角に至る経過の資料的価値もある。それにしても、はじめに、であるように、2000年に好きなテレビ局で1位だったフジテレビが失速したことについては謎だが、筆者は「社内の組織の変化にこそ遠因があったように思えるp5」と分析している。  

 

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 いくつか備忘録として以下メモ。

▽時代と共振したフジテレビのドラマでは、方針決定の軽快さがあり、「やれるものならやってみろ」のチャレンジ精神があったp30があった。

▽「逃げ恥」の視聴率は一度も落ちることがなく、押し上げたのはSNSの力もあったp71。フェイスブックは大人、ツイッターは若者層、インスタは最も若い層、で、内容を区別してそれぞれに発信するよう、若いスタッフに指示したp71

▽報道を黒字にした「ニュースステーション」p158~ライバルの「ニュースセンター9時」を分析し、局内の力関係でトップ項目を決めているとしか思えず、「新聞をよく読んでいる人なら理解できるが、普通の人がわかるわけではない、義務感で視聴しているニュース番組」と結論づけ、十分に勝機はあると感じたp161・・浮上のきっかけは、1986年1月28日に起きた7人が死亡した米スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故p162で、独占放送契約を結んでいた米CNNのスクープ映像と立体地図など14.6%に。

目加田説子中央大学教授(フジテレビ元記者ディレクター)ニュースはもっぱら民放、夜7時も数年前から視聴しなくなるp219・・大卒後にジョージタウン大、姉の影響でテレビ局に。アウトプットばかりだったのでやめる。サンデーモーニングに出演では、予定調和は一切なく自由にコメント。関口宏さんの存在感が大きいのは確かと。←視聴率で情報番組はほぼ毎週サンデーモーニングがトップだが、確かに自由に思うところをコメントしているのが良いのかもしれない。

 

 大きなテレビメディア上の事件が、本著ではドラマの章に入ってくるのだが・・以下は、いつだったのか、覚えておきたい。

▽「TBSは今夜、きょう、死んだに等しいと思う」1996年3月25日NEWS23で筑紫キャス発言、発端は95年10月19日の日テレ報道p73:TBSに勢いを与えたのはドラマ「JIN」

▽2003年10月24日に日テレプロデューサーによる視聴率買収事件p82、3年3ヶ月後の2007年1月20日に「発掘!あるある大事典Ⅱ」データねつ造事件で関西テレビが発表p83。番組は日本テレワークに制作委託され、さらにアジトなど9社の孫請けに再委託されていたp84、の背景に視聴率至上主義の歪みと指摘したあと、WOWOWドラマWが、スポンサー制約がなく、「空飛ぶタイヤ」2009年3月~4月など、自由で新たな発想、および高級感で、出演を希望する俳優も多いp88という状況を説明している。

 たしかに、この読書録でも取り上げたか、「しんがり」や「石つぶて」など、見入ってしまった。会員向けネットでの同時配信や見逃し配信もすでに実施しているのもなかなかな展開ではある」。

 

 知らなかったトピックスで、以下は本著から知識としてメモ。

探偵!ナイトスクープの3つの発明p121~(1988年3月~朝日放送

・二つの目で見せる、徹底したディレクター主義、ナレーションを一切いれなかった
・6月の宝くじはどうすれば当たるか?の聞き取りにくかった声にテロップでフォロー

 ▽田原総一朗氏、官邸機密費で断られたのはただ一人と野中元官房長官2010年暴露p181、田原氏は「私の原則は、言論の自由を守ること、日本に戦争を起こさせない、デモクラシーを守る、の三つ」と話している。p185→これはどの場面で話したのか、記録はあるのか、本書だけではわからないところはあるが、わかりやすい。全く同感ではあり、それこそ役目だろうと考える。

 

{2019/4/17-19読了、記入は4/28(日)}