読書録

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私でない私 新潮文庫(改題 コピーフェイス―消された私―)

私でない私 (新潮文庫)

私でない私 (新潮文庫)

コピーフェイス: 消された私 (新潮文庫)

コピーフェイス: 消された私 (新潮文庫)


 1990年に発表された原著がベストセラーになり、それまでさまざまなペンネームで書いていた著者が、「ラブ・サスペンスの女王」とまで称されるきっかけにもなった作品とのこと。政治を舞台にした推理小説に官能的な要素がミックスされ、何ともスリリングで面白いまさに傑作だった。英語の原題は、『MIRROR IMAGE』で、最初の邦題は『私でない私』だったが、今回のドラマ化にあわせて、番組タイトル『コピーフェイス〜消された私〜』に改題されたとのこと。

 またトランプ候補が、大手メディアのほとんどが批判していた中で次の大統領に決まり、大番狂わせとも言われているが、家族が仲良く登場することの重要性など、四半世紀前に書かれた本著でも、アメリカの政治事情をうかがうことができ、その点でも興味深かった。

 物語は、テート・ラトリッジ上院議員候補とその妻・キャロルに飛行機事故で整形されたテレビのリポーターのエイブリー・ダニエルズを軸に展開していく。娘マンディとの関係、兄夫妻の関係など、さまざまな人間関係が錯綜しながらも、ヒロインが大活躍してハッピーエンドになるのだが、ネタバレになると読む楽しみもなくなると思うので、記述はここまでにしておきたい。

 ラブロマンスの表現として、例えば「エイブリーは背中と喉元をアーチ型に反りかえらせた。テートはもっと先へ進み、さらに深く触れ、一段と高みに達した。信じられないほどだったp414」やp492の「テート、あなたが欲しいの」前後、p598あたりなどは、引用が憚れるような、なかなかな描写が続く。


発行した新潮社のサイト⇒ http://www.shinchosha.co.jp/book/242526/

ドラマ化された番組のサイト⇒ http://www.nhk.or.jp/drama10/copyface/


 ドラマで主役をつとめるのは、栗山千秋さん。すでに第1回が11/18(金)に放送されたが、包帯に巻かれた顔でも、目力に強く惹かれるものがあった。今のクールでトップ視聴率なのは、ドクターエXの米倉涼子さんだが、この方も、目の力がすごいという印象を受ける。
 原作とドラマでは、設定も大きく異なるようではあるが、飛行機事故と入れ替わりという重要なプロットは同じ。ドラマは潜入捜査というニュアンスがあるようで、このところの映画やドラマでもよく取り上げられるスリリングな展開が期待できる。その中で、はてさてどこまでラブロマンスの分を描いてくるのか、楽しみではある。次回は25(金)夜10時からで、連続6回。
 

{2016/11/9-18読了、記入は23}