- 作者: 清武英利
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (6件) を見る
今回はテレビドラマを先に見て、原書が読みたくなった。組織としてとんでもない状況に追い込まれたとき、人としてどう生きるのか、について感じるところが多々あった。クライマックスの一つに、調査報告書を発表する場面があるが、実名も盛り込みながら何が原因だったのか徹底究明して内容をまとめることができたのは、稀有なことだと思う。テレビでは名前が微妙に変えられていたが、本書を読んで実名でノンフィクションなのだということがよくわかった。
「社員は悪くありませんから!悪いのはわれわれなんですから!」という会見での社長の発言は、破綻した1997年からちょうど20年という節目を受けた去年11月、ニュース番組などで久しぶりに視聴する機会があったが、その背景についても知ることができた。
著者の本は、この読書録で、2013-04-14 『メディアの破壊者 読売新聞』 清武英利 佐高信 編著
http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20130414 以来だが、実に読みごたえがあった。
発刊した講談社のサイト⇒ http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062816090
ドラマ化したWOWOWのサイト⇒ http://www.wowow.co.jp/dramaw/shingari/
(本書に関する関連WEB記事)
◇サラリーマンの胸に刺さる『しんがり 山一證券最後の12人』名セリフ!
「言いたいことが言える人間じゃないとね」⇒ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45358
◇「しんがり 山一證券最後12人」のそれから 20日より江口洋介主演でTVドラマ化!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45020
ドラマでメディアの取材班が入ったことに抵抗する社員に、女性が怒る場面が結構印象的だったが、本書では、それが、NHKのクローズアップ現代の取材班で、広報部が抵抗したと淡々と描かれ、「もう寿命が尽きかけた会社の何を隠そうというの、最後ぐらい包み隠さず教えてよp335」は、秘書の郡司由紀子さんの心の言葉になっていた。p349では、調査報告書についてNHKのみ事前入手したとも記していて、相当食い組んでいたのだろう。
なお、日本新聞協会のサイト( http://www.pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html )を見ると、「山一証券 自主廃業へ」のスクープ 日本経済新聞社(代表)編集局証券部 中野 義一 が受賞している。本書でも描かれた、破たん会見2日前の土曜に新聞に出たというところのことか。
またエピソードとして描かれている、報告書を朝日新聞にリークしたのが、國廣弁護士ではなく、精算業務の責任者を引き受けた菊野晋次氏というのも面白い。菊野氏は、のちに『コンプライアンス入門』を、シグマベスキャピタルから出版し、その中に繰り返し出てくるの言葉が「コンプライアンスは難しくない。常識的であることだ」p385、ということは胸に刻みたい。
{2018/2/15-23読了、記入は25日}