読書録

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『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』 山岡 淳一郎 著

 各紙の書評でも取り上げられ、マンションを取り巻く問題を取材をもとに解説。副題の二つの老いとは、「住民の高齢化」と「建物の老朽化」(pⅰ、p46)のこと。住民たちの努力でコミュニティを作り,資産価値を高めた例が紹介されているが、我が身を振り返るとなかなか難題ながら、今後に生かしていくことができればと思う。

 なお、大規模修繕をめぐって談合・リベートの深い闇が覆っているp21ことや、欠陥マンション(パークシティLaLa横浜)での管理組合と販売主の攻防p86~など、情報を集めながらきちんと対応しないと、大変なことになることも深く認識した。

生きのびるマンション: 〈二つの老い〉をこえて (岩波新書)

生きのびるマンション: 〈二つの老い〉をこえて (岩波新書)

 

  発刊した岩波書店のサイトは↓

www.iwanami.co.jp

 豊富な取材例から、参考にしたい点が多々あり、以下に箇条書き的に引用↓

◇鉄筋コンクリート(RC)造は会計上47年だが、通常60-70年、補修で100年は大丈夫といわれている。p16

 

◇鎌倉の老朽マンション「小町マンション」が楽園にp22:

 

◇大規模修繕の発注方式は、コンサルタントによる設計監理、施工業者にすべてをまかせる「責任施工」、管理組合に補助者がついて分離発注する「コンストラクションマネジメントCM」の三つに大別できるp27、

 

◇第三者管理者方式p41には限界あり:利益相反を抑える手立てがない

 

◇大規模修繕でセカンドオピニオンで救われ、大勢いるその道のプロが協働できる場さえできれば対応できるp64

 

◇大阪枚方市の「労住まきのマイツ」p75では、現地調査と質疑で業者選ぶ、高齢者の生活支援も、公園の藤棚の下でモーニングカフェも

 

◇欠陥マンション建て替えで、力になってくれたのは、人脈でつながった専門家p113

 

◇マンションの共同体、コミュニティの力は、本音で話し合える場をどれだけつくれるかにかかっていますp174:ルミエール西京極では、理事に活動費を認め、1回に2時間の定例会議に出席すれば各自1000円認められるが、理事会が管理し、お酒やジュースの購入、懇親会の開催に使われる。本音で言いたいことを言い合うためのコストp175

+定期総会の資料に、近い将来の検討テーマとして、

子ども食堂、託児所、学童保育カーシェアリング、コレクティブハウスなど。

+白金タワーもルミエール西京極も、住民自身が話し合い、お金ではない、しあわせというか、幸福感の座標軸が必要p187

 

国交省の長期優良住宅化リフォーム推進事業p202税金の優遇措置:

 

◇自分の家なのだから自分で管理するのは当たり前という「私」の意識を、集合住宅の「共」、街並みの「公」につなぐキーワードが責務。

 

 著者は、タワーマンションについて、「巨大地震が起きるとライフラインが止まり、孤立する」p163と警告するなど、「超高層の不都合な真実」という第4章もたてて厳しい指摘をしていた。ことしの相次ぐ台風で、まさにタワーマンション脆弱性が浮き彫りにされた面もある。著者はツイッターで次のような記事を紹介していた↓

 
 どうマンションを生き伸ばせていくのか?すぐにもやらないといけないことがたくさんありそうだ。とても勉強になりました。

 

{2019/11/2-9読了、記入は11/9(土)}