- 作者: デジタルサイネージコンソーシアムマーケティング・ラボ部会
- 出版社/メーカー: 東急エージェンシー
- 発売日: 2016/06/15
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日本を動かす次世代メディア デジタルサイネージ戦略 電子看板最前線
- 作者: 中村伊知哉,石戸奈々子
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/04/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この分野に関わるようになって、少し落ち着いたところで、全体像をつかもうと図書館から借りて読む。
「電子看板」と呼ばれていたのが、著者で先駆的に動いてこられた慶応大学の中村伊知哉教授が理事長をつとめる、デジタルサイネージコンソーシアムが2007年6月に設立され、翌2008年がデジタルサイネージ元年と業界では呼ぶと、『革命』p12で紹介している。
いずれの本でも成功例&代表例として紹介されるのは以下で、『2020』から引用
・2016年現在で27000面あり、1ロールは20分から25分、一日4~5回随時更新。・2013年からは、花粉情報などと広告を連動させた「コンテンツ連動商品」も展開。+J・AD(ジェイアド)ビジョンが、2008年JRの東京駅構内で実験、複数で縦置きに効果が標準になったという・2013年からリニューアルでHD画質に。全画面で425㎡のサイズ。デジタル花火大会などスマホとの連動も試みたとのこと。◇丸の内エリアの街メディアとして、「丸の内ビジョン」p16は2002年開始、20施設118面に配信。・2011年の東日本大震災では、発生9分後にNHK緊急放送に切り替えてストリーミングで情報提供したというp17
約10年前に相次いで発刊された2冊は、コンソーシアムの誕生をふまえて、重なる部分も多くあり、まずサイネージが注目される点については、以下4点をあげる。
戦略の★p11+革命の★p19:注目される理由4つ:1)動画や音楽が使える、2)場所と時間を特定できる、3)ディスプレイ端末ごとにコンテンツを制御できる、4)長期的にみて広告コストの削減につながる
また、課題と対応策については、紹介順など微妙に違うが、以下。
★戦略のp222と★革命のp43、p188、課題:1)技術的な標準がない、2)広告取引の指標が不統一、3)権利処理ルールが未確立、4)倫理規定がない対応ポイント:(戦略のp225)1)ネットワークの整備、2)広告メディアの基盤形成、3)利用の拡大、4)人材の育成、(←★革命p220:広告メディア、ネットワーク、公的利用の拡大の順)
紹介されている8分野とは以下
無料公衆無線LAN環境の整備促進
ICTを活用した多言語対応の実現
デジタルサイネージの機能の拡大
4K・8Kの推進
第5世代移動通信システム(5G)の実現
オープンデータ利活用環境の整備(公共交通情報等)
放送コンテンツの海外展開の促進
世界一安全なサイバー空間の実現
あわせて、この懇談会の資料で、コンソーシアムのいまの活動や、市場規模予測の最新(富士キメラ総研)のデータもあり。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000649758.pdf
市場規模の予測p114では、1)小規模~中規模の数量的普及、2)超高精細大画面の拡大、3)パーソナル市場の開拓があり、2014年の1027億から、2020年には8964億p115で、うちシステムが3771億、広告コンテンツ関連が5193億(三菱総研による)ことや、約10年前にはコンソーシアムの目標1兆円というのもあるが、下方修正が必要になっているのかも知れない。
なお新トレンドについては、総務省の報告書も引用しながら、p119~
緊急災害対応やスマホやICカードとの連携、Web-basedサイネージ、ソーシャルメディア連携などを項目としてあげている。
確かに災害が激甚化する中で、サイネージが果たせる役割も大きいと考えられ、また街では広がりを見せているように思える。技術の進歩でますます高度化していく動きもあるようで、しっかり注目していきたい。