読書録

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逆境からの仕事学 NHK出版新書 505

逆境からの仕事学 (NHK出版新書)

逆境からの仕事学 (NHK出版新書)

 テレビのコメンテーターとして活躍されている著者が説く、成熟社会で希望が見いだせない厳しい時代における仕事や生き方論で、知的バックグラウンドがよくわかり、多くのことを学べる一冊。記録して覚えておきたい内容が多々ある。自ら早稲田大学で進路に迷ったことや、留学で出会った友人や土門牧師との出会いから、37歳で初めてICUで助教授の仕事を得たこと(p82)など、実体験を紹介していることなど、深みのあるコメントには、こうしたタイトルにある“逆境”を経ているからだろうか。


 「悩んだときには本を読め」(p90)というのも全く同感、というか周りにオススメしているところで、大型書店めぐりをするところや、目次を眺め、序章とあとがきは読むべきというのもその通りで、以下にまず引用。読書法では、じっくりは年1冊、それと通読、飛ばし読みとメリハリのある読書を、また会社の中に読書サークルなどを設けることを、著者はすすめている。

 序章で、不確実な時代に学歴社会モデルから個人経歴モデルが主流になる中で、本著を貫く三つの要点として(p15)
▽自分にとっての仕事の意味を考えよう
▽複眼的な視点を持とう
▽人文知に学ぼう をあげるとともに、
 終章で、簡単に振り返るとして(p180)
▽仕事は社会への入場チケットであり、
▽社会の中での自分の使命(ミッション)に気づき、仕事に打ち込むことができれば理想
▽その際に、人文知を頼りに、過去の歴史的な人物や出来事に学ぶのがよい方法(←古典など“干もの”、どこからきてどこへいくのかp21)
▽p189:“自燃(じねん)”に生きるとは、自分に合った仕事とは何なのかを考え、目標を持ち、自ら納得しながら仕事に取り組むこと
▽p197:多様性とは自分の外側に違う人がいて、違うものの見方があって、それぞれが共存していくことであり、加えて自分自身が変わるということです。そういうような経験をくぐり抜けることで、自分の役割に気づき、ミッションを見いだすことができるのです。


発刊したNHK出版のサイトに目次あり→ https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000885052016.html


 ほかに備忘録として以下に引用
◇p86:一見無駄に見えることを一生懸命やることによって、人生が豊かになることもあるはずです。

◇逆境に心折れそうなときに読む本として、ヴィクトール・フランクルの『それでも人生にイエスと言う』p108、この本で、『私は人生になにを期待できるか』と問うことではなく、『人生は私になにを期待しているか』と問うだけ←厳しい体験をすると、どこかでフランクルに接することになるのだろうか?

ドラッカーの『マネジメントー基本と原則』p120より、マネジメントの役割は、1)自らの組織に特有の使命を果たす、2)仕事を通じ、働く人たちを活かす、3)自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する+企業の目的の定義は、顧客を創造することである(p122)+イノベーション=経済や社会にもたらす変化(p124)←この読書録では、
http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20110407 だが、このような上手なまとめ方になっていなかった・・・

◇ほかに古典のおすすめで、ポランニーの『大転換』、孔子論語、聖書、ウェーバーの『職業としての政治』

◇フランクリンの「タイム・イズ・マネー」で、時間管理と倹約、節制など(p144)+13項目の戒律で、決断、勤勉、誠実、正義、謙譲など。

石橋湛山小日本主義(植民地を手放し、すべての国と仲良くして自由貿易で儲け平和を志向して富国を)(p153)など、構想力を学ぶべきポイント。

本田宗一郎に学ぶ「セルフメイド・マン」、社会や人間に奉仕することを第一に掲げるp158

マルクス・アウレリウスの『自省録』:ありのままの姿で物事を見よp173

◇p174:与えられた役割の中で、自己の限界や会社の限界を見極めたうえで、その人のミッションに忠実に従い、最大限のパフォーマンスを発揮するという心持ちでいることが大切です。

◇人が働く最大の動機は「他者からのアテンション」を受けたいためだp183

◇どの価値を選ぶか。より多くの社会関係資本が生きている地域を求めて、地方へ向かうのか、それとも利便性を優先して、生涯にわたって一定の所得や資産を確保する方を求めて都市部を選ぶのか p187

◇リーダーとして、金大中氏の「半歩前を歩け」という言葉を肝に銘じるとともに、異業種を含めたネットワーク作りを大切にしている。p192


⇒本著で紹介されていた「古典」の数々は、読んだが覚えていないものも多く、日々学習していきたいもの。

{2017/4/3-7読了、記入は9日曜}