読書録

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テレビはなぜおかしくなったのか報道をめぐって

テレビはなぜおかしくなったのか

テレビはなぜおかしくなったのか

TBS、NHK、日テレでドキュメンタリーを制作してきた“ジャーナリスト”と政治学者が、副題にあるテーマごとに、今のテレビ報道のあり方を痛烈に批判している。 この読書録でも記したニューヨーク・タイムズ東京支局長をつとめたマーティン・ファクラー氏の『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』( http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20130606 )や、『ホット スポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』などを引用しながら、「テレビ報道がジャーナリズムを取り戻す」よう提言している。


各章から印象に残った文言を引用して紹介。
金平茂紀氏(TBS)
p28:「後続世代の大衆運動、社会的な異議申し立てに対するアレルギー、嫌悪感」=「官尊民卑の思想」
p32:「組織の論理が記者の良心を押し潰す」
p36:「根底にあるのは<忘却>と<イナーシア(=慣性)>という二つの困難」


永田浩三氏(元NHK)
p57:(反原発デモ報道で)「市民はNHKに期待しなかった…自前でヘリを飛ばすことを支えたひとたちは、NHKを大切に思い、公共意識の高いひとたちだった。これ以上の屈辱はない」
p62:(慰安婦問題)「ここまで露骨な幹部の介入、政治家の意向の反映は、放送史上最大の汚点のひとつだ…仕事仲間を失った。後悔は消えない。…私は、本を著したあと、うつとなり死を考えたこともあった。お世話になった組織に刃向うことは、過酷なことだ」
p75:(共通するテレビのおかしさ)「テレビメディアの人間が、自分だったらどう感じるかという想像力の欠如である」


◇水島宏明氏(元日テレ)
p149:「最近、報道の仕事に携わる記者たちが取材のコストパフォーマンスを組織内で強く求められるなか、「現場に行かない」「現場を見ない」傾向が強くなっている。…ネットへの対応などで記者やディレクターたちが仕事上処理すべき作業が多くなり、現場で想像力をめぐらせ、社会の底辺に心を寄せるジャーナリストが減っている」


◇五十嵐仁氏(政治学者)
p180:(尖閣問題をめぐる日中対立の激化で)「マスメディアにおける報道の最大の問題点は…「領土紛争」を引き起こした石原氏の責任を指摘し、その責任を追及するような報道がほとんど存在しなかったところにある…「大衆的人気」を敵に回すことを恐れ、批判的な報道を手控えるという点では、橋下大阪市長に対するマスメディアの対応と共通するところがある」
p186:「外国メディアの目には、日本の「報道機関」は右傾化に「迎合」していると見られていることになる」


目次などは、出版した高文研のサイト⇒ http://www.koubunken.co.jp/0525/0501.html


{11/19-23読了、記入は24}