読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

テレビは何を伝えてきたか ちくま文庫


 ラジオからテレビ草創期、そしてネット時代をむかえ、3人の著者が事例豊富に語っている。月刊民放の座談会シリーズで2010年3月から隔月で掲載された12回の内容に加筆する形でまとめられたものだとのこと。

 あとがきの中で、植村 鞆音氏は、二人が語ろうとしたことを3つにまとめて紹介している。p361
1)民放テレビの先行きは必ずしも明るくない
2)そうは言っても、テレビは強いメディアであるし、将来も基幹メディアであり続けるだろう
3)2011年7月のデジタル化をもってインフラ整備は完了したが、問題はソフト開発につきる。


 本書が発行されて6年、さらに放送とネットとの融合が進み、SHV放送も始まるなかで、今後のメディアのあり方を考える上でも参考になる。



発刊した筑摩書房のサイト→ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429575/ 

道浦俊彦YTVアナのブログに関連→ http://www.ytv.co.jp/michiura/time/2012/08/2012610.html



 今にもつながる部分など備忘録として以下をメモ引用
◇記憶に残る演出家としてBK出身の和田勉、岡本愛彦『私は貝になりたいTBS』、ドキュメンタリーで吉田直哉p29
◇現在のテレビに大山氏:テレビ離れが指摘されるが、幅広い社会性、公共性、共に一緒に生きている感覚を味わえるp39
小林賢太郎をビックにしようとしているp73
川口幹夫元NHK会長の就任で三つのたを大切に『た・よりになる、た・めになる、た・のしい」番組を作ろうp78
◇日曜はダントツにHUT総世帯視聴率が高い、次に月曜、三番目が土曜、金曜は一番低いp92
◇視聴率はTBSが19年間トップ、次にフジが12年間(1982から)トップ、日本テレビが10年トップと攻守交代p102
◇プロダクション大手はNEP480億、共同テレビジョンが180億、テレビマンユニオンが60億(電通情報メディア白書)p134、他メディアにむけ、80年代に127社、90年代に111社できるp150
◇朝から元気にで澤田、1979年3月からズームイン朝、2011年からZIPに(p141)NHKニュース強く6時から工夫p147
NHKの上方演芸会で大当たりし漫才ブームを起こした秋田實先生p200、小林一三の誘いでワカサ・ひろし・・
◇良い放送人とは?大山氏「ジャーナリズムの精神、現状維持や事なかれ主義は禁句p237・・「高く・広く・深く・熱く」p238
◇歴代ドラマで、週刊現代では『岸辺のアルバム』、週刊文春で『てなもんや三度笠』p295
山田太一「クリエイティブな欲求のある人が編成や番組制作の中心にいなきゃいけないと思う・・サラリーマンとして優秀であっても欲求のない人が発言力を持っていることは残念」p302+大山氏「クリエイターというのは、いままでにない何か、サムシングニューを作ろうという精神が一番根っこになきゃいけないですよ」p304+植村氏「年齢と想像力というのは無関係、定年なしのテレビ局を提案したい」p311、
◇放送局が社説を出せるかという議論がずいぶん昔からあり、山形放送が一時、堂々と出していた・・公正、客観的な報道をするようになってきてやならいことになんとなく決めた・・p346
◇北川氏:(少子高齢化とネット荒波でこのままではダメ)どこかを削って、思い切ってスリムになりながら、いままでよりも強靱にになることを、いま判断し、決意すべきだとぼくは思うんですp351


 メディアをめぐっては、4月21日土曜深夜に再放送されていた『100分deメディア論』
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2018special/index.html
が、とても興味深かった。リップマン「世論」、サイードイスラム報道」、山本七平「『空気』の研究」、オーウェル「一九八四年」の4冊が取り上げられるのだが、リップマンのステレオタイプや、オーウェルのビックブラザーなど、ネット社会の進展でますます重要な論点になっているようにも思う。


{2018/4/19-23読了、記入は4/28}