読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか

タイトルの疑問の答えは、扉に記載されているように、「子どもの頃から何かを成し遂げるべく競争するように育てられ、働くのが当たり前のように求められてきた」という既存の男性への役割意識ということか。主夫となった夫がパートナーでラジオDJでも活躍する小島慶子さんと、男性学の専門家としてよく登場する田中俊之武蔵大学社会学助教( 読書録『男がつらいよ』 http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20151129 )の対談が内容となっている本著は、これから生きていくうえでのヒントがあるように思う。

 いま求められているのは「女性の働きやすい職場ではなくて、みんなが働きやすい職場をつくっていこうと言った方が結局変わっていくp161」というダイバーシティの発想というのは、その通りだろう。男性も「しんどい」「苦しい」と言っていい、子育て中の人や女性のため、という「他人事感」ではなく、自分の問題という当事者意識を持つp162、というところにも共感を覚えた。

 本著で引用されている『「育休世代」のジレンマ』( http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20160104 中野円佳 著)については、ことし読んでいたので引用しつつ、<仕事に意欲の高い人ほど納得した働き方ができず夫の協力も得られず育児専念で辞め、仕事の成果を望まずに制度を使えるだけ使って両立できる範囲で働く人が残る>、という小島さんの引用は、いまの問題を的確にまとめている。

 
出版した祥伝社のサイト→ http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396114671


 いくつか印象に残ったポイントを備忘録として以下に引用
◇田中:(会社を辞められない)ローン、結婚、それに会社が三つの「呪い」セットp43
◇小島:「死ぬまでセックス」というのはいわば「百名山」と同じ…仕事以外の生きる実感というものを知らずに来てしまった人p95


◇小島:これからの若い人たちは、結婚市場で高値がつくためにも家事能力をつける方向へ変わらざるを得ないp143+子どもを連れて行ってもいいという職場が増えるといいp145+職場近くに託児所を作る提案をしたら役員から「いくら儲かるか数字を出せ」p147←振り返ると、託児所については20年前に同様の提案をしてダメだった覚えありBUT土日祝は職場に連れて行って受け入れてもらえた記憶あり


<子どもに対し>
◇小島:(息子たちに言っているのは)★「いくら必要なのか、何が自分の幸せか君にしか決められないよp182」+英語(ほぼ世界共通言語)と算数(全世界で同じルール)と手に職、この三つがあればなんとかどこかでは生きていける&自力で食える人になるp183+「実際に働いてお金をもらうというのはとても大変なことなんだということをわかってほしいp190」←久しぶりに息子と会った際に、同様のことを伝えたいと話したが、どこまで理解してくれただろうか?
◇田中:子どもたちには、どこで学ぶかよりも何を学ぶか、そして、勉強したことをどのように自分の人生に活かし、社会に貢献していくかが大切であると伝えたいですねp200←全く同感!


<パートナーに対し>
◇田中:それでもなお一緒にいようと思う人は、自分にとって「特別な存在」だということ…この人といたいと思える、その人は…p231
◇小島:「一緒にいるあなたの脳みそと目ん玉が私を自由にするの」「一緒にいるあなたの脳みそと目ん玉が僕の不安を和らげるの」、というパートナーになれるかどうかp233


 はてさて、今後はどうなっていくのだろう。

{2016/09/21-25読了、記入は同日}