読書録

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夫婦仲の経済学

夫婦仲の経済学 皿洗いからセックスライフまで、妻と夫の不満は経済理論で解決

夫婦仲の経済学 皿洗いからセックスライフまで、妻と夫の不満は経済理論で解決

 仕事と子育てが大変だった時に読んでおけば良かったと思える本。人間は合理的な判断ばかりをするものではないという経済学に心理学をミックスさせた行動経済学の見地を、夫婦関係にもあてはめて、その原則から対応策を、さまざまなケースごとに示している。

 振り返れば、家事に関わる分担をめぐって、どこが公平なのかという議論を結構した記憶があるが、第1章の家事の「労働の分業」という観点から、単に二分割するのではなく、業務を特化させて、比較優位p38で得意&好きな分野を考え、また、パレート効率性p50で一定の条件で最適を求める、ということは、確かに有効だと考える。
 

CCC Media Houseのサイトに目次あり→ http://books.cccmh.co.jp/list/detail/834/


 けんかの収め方として「損失回避」(第2章)で、損失を嫌う<授かり効果p81>によって、手に入れたものを失うことを極端に恐れる心理というのは、モノの整理をめぐって対立することがあるが、心しておいた方がよさそうだ。現状維持バイアスとして、幸福度は、参照点=過去の状況との差異で決まるということも覚えておきたい。

 この本の随所に織り込まれる性生活関連も、ある意味、データや経験ではっきり示されていて興味深い。「性生活と夫婦仲は正比例の関係にあるp107」というのはそうだろうが、需要と供給〜コストを削減してできるようにする、というのも面白い。


 このほか、いくつか印象に残ったポイントを引用
モラルハザード対策の具体例として、契約を交わして見直す、というのも、一つの手段なのかも知れないp171。
◇あらゆるインセンティブはもろ刃の剣p188
トレードオフは費用対効果分析で考える。アルフレッド・マーシャルp221+割を食うことを極端に嫌う<不平等回避>という心理で、自己利益に反する行動をとることもあるp248←この公平感というのが結構いまだに課題。キャリア形成にも関わるところで、トータルとして女性の方が不公平という思いが強いことは認識しておく必要がある。
◇情報の非対称性(p257〜)いわゆるレモン<欠陥品>問題で、誤解のないようにシグナルを送ったり意思表示をする必要がある一方で、情報は出しすぎても問題になることもあるとのこと。
◇バブルを引き起こす要因の一つ目が<確証バイアス>で、思い込みを肯定する情報には目がいくが、そうでない情報は排除する傾向p333、二つ目は群集心理、三つ目は過信。

◇p368-371に夫婦信頼感指数チェックテストという内容があり、試しにやってみたところ「現状維持につとめよう」というアドバイスで、お互いに感謝の気持ちを態度で示し、感謝の応酬を続けようとのこと。

ゲーム理論の基本戦略として、p380、1先を読む(自分の言動で相手の反応)、2過去に学ぶ(前回は相手がどう反応?改める)、3相手の身になって考える(自分ならではなく相手ならという視点で)、というのはあらゆる場面で応用できそうだ。

{5/9-14読了、記入は同日}