読書録

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五代友厚

五代友厚 (河出文庫)

五代友厚 (河出文庫)

 オダサクこと織田作之助がこのような小説を書いているとは知らなかったが、朝ドラで注目された五代友厚の、ドラマでは描かれなかった人物像に接することができ、興味深かった。タイムリーに文庫化したということか。

 収められている二つの小説のいずれも冒頭に出てくる「生麦事件」については、横浜・鶴見区で以前、「生麦事件参考館」を訪れた時のことを思い出したが、検索してみるとおととし閉館したという。この事件への対応、開国論、海外視察など、時代の先を読む先見性で、著者として、坂本竜馬渋沢栄一とも並ぶ人物ながら、大阪でさえそれほど知られていないことで伝えたいという思いが伝わってくる内容となっている。

 また、『夫婦善哉』はその文体から読みにくさを感じたが、描かれた時代のこともあるのかもしれないが、本著は司馬遼太郎歴史小説を読んでいるかのような印象さえ受けた。


出版した河出書房のサイト→ http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309414331/


◇著者の大阪へのコメント部分を備忘録として引用
p258:大阪はこのように地理的条件と封建の制度に恵まれて、問屋都市、金融都市として発達していったのであるが、ひとつには大阪人の勤倹努力の素質と、義理固い性格と、大阪人自ら作り上げた町人道への精進がこの繁栄に大いに与って力があったのである。

p320:私達素人の目にも大阪の経済界は再び維新のそれと同じく大きな変革期に直面している。維新の際は友厚という指導者が出て、」よく大阪の危機を救うた。…


{5/14-19読了、記入は21}