読書録

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あなたの知らない妻がいる

サブタイトルにあるような“熟年離婚”の可能性について、この本がインタビューなど通じてまとめられたのが7年前ではあるが、それほど状況は変わっていないように思う。子どもが親元から離れ、家族の住む場所がバラバラになる中で、いかに関係を保っていくのか、示唆に富む本になっている。


本著で幸福な関係が築かれる二つの夫婦関係として、納得の上で枠割分業(夫が経済的イニシアティブで妻に感謝)するタイプと、共働きでお互いに助け合い協力しあう同志のようなタイプをあげているが、いずれにせよ一緒に暮らすためには、お互いを理解し合うために、会話が必要だと指摘している。


また、アメリカでは愛が結婚の理由で消えれば離婚という「愛に基づいた理想的な結婚生活」の形になっていることや、スウェーデンでは、共同生活のサンボーを通じて相互理解を深め愛情を長い時間をかけて育てたうえで結婚に至るというケース、韓国の儒教的な考えと女性の社会進出が進む中での過渡期の状況などが紹介されている。ただ、欧米諸国や韓国では、「夫婦や家族といった人間関係は、自分の人生の中で最も大切なものであり、その関係を維持すること、より緊密な関係を築いていくことに、かなり意識的に、意欲的に、取り組んでいますp118」と分析されている。


本著で紹介されている共働きのケースとしてp174〜
・ひとりの社会人として、精神的にも経済的にも自立した男女が結婚して夫婦になる。ふたりとも仕事熱心で、生活の糧というよりアイデンティティの一部であり、生きるうえでのモチベーションであるため、妻が仕事を辞める理由にはならない。
・ただ、子育てには手がかかり、「男は仕事、女は家庭」が当たり前の社会で、家庭に時間を割く男性側にもジレンマやストレスがあった。
・結婚は生活のためにするものではなくなり、自分の生き方を自由に選び、個人の価値の実現と矛盾しない夫婦関係が模索される。
・夫婦共働きでそれぞれに経済的、精神的に自立した「同志的夫婦」は、現実的に別れても問題はないが、一緒に音楽を聴いたり芝居を見たりしたときに波長があうといいった情緒的なつながりが夫婦の理由になっている。


そして著者は、最終章(第7章)で、夫婦のあるべき関係について、次のように下提言する。文言を引用して紹介↓
・「相手への敬意、あるいは安心感など配偶者に対する肯定的な感情をもっていることが、ふたりが一緒にいる理由であり、かけがえのない相手となっているのです。p186」
・「夫婦は我慢だけを学ぶものでも、あきらめだけを知るためのものでもありません。誰かとともに生きることのおもしろさを味わうための存在であってほしいものです。そして、互いに共感者として、励ましや、自分の存在感を確認できる関係でありたいものですp198」
・「結局は何を選び、どう生きていきたいかを自分で決め、それを夫婦がお互いに認め合ったうえで、ふたりの接点を見つけていくことが大切だということではないでしょうか。今、自分と相手をみつめたうえでの、「夫婦のリ・デザイン」が求められていますp200」


いろいろ、肝に銘じておかなければならない。

{6/18-22読了、記入は29}