読書録

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日本人はどのように仕事をしてきたか

日本人はどのように仕事をしてきたか (中公新書ラクレ)

日本人はどのように仕事をしてきたか (中公新書ラクレ)

「名著で読み解く」というだけに、それぞれの本が時代を反映していて興味深いが、それを著者が鋭く評価する“書評”を書いて、今はどうなのかを書いた人本人からコメントを得るという構成自体が目新しく感じて面白かった。それぞれの本のダイジェストもあり、資料的価値の高い新書だと思う。著者の根底にあるのは、二項対立的な労働関係ではなく、「働く側、雇う側、社会が三位一体となって、働くを、助け合い・競い合い、学び合う形になんとか近づけてきたのだ、というその歴史を感じていただければ」とp5に書いているところだろう。アベグレンによる三種の神器「終身雇用、年功序列企業別組合」としたことには疑問を投げかけている。そして、日本の企業は、アメリカのような利潤追求組織ではなくて、社会組織であるとしたうえで、「日本における企業の存在理由は、社員の幸福と安寧を実現すること」で、この部分は根本的には変わっていないと看過している。


(扉ー要旨)
仕事・給料・能力の来歴を知ろう。戦後「日本人の働き方を変えた」13冊を取り上げ、書評とともに、当時の社会を描く。(1)『日本の経営』のアベグレン氏、(3)『職能資格制度』の楠田丘氏、(4)『日本の熟練』の小池和男氏など、名著の著者との往復書簡を通してカリスマの現在の視点を知る。新しい「働き方」を模索する一冊。


(目次ー引用)
1 戦中〜戦後という奇跡的な時代環境が協調経営を形作った;


2 欧米型vs.日本型「人で給与が決まる」仕組みの正当化;
p55:経験と実績(評価)を通じて、確かに能力アップが確認できたとき、ランクを上げる。そのためには、ランクごとに、必要な能力をあらかじめ決めておく。これが、1960年代後半に日本企業が行き着いた結論でした。世界に先駆けたスマートな属人給の体系が「能力主義」だったのです。⇒数十年後にコンピテンシーと名前を変えてアメリカから戻ってきたという著者の認識
(2)『能力主義管理』日本経営者団体連盟1969年(キッコーマンの茂木啓三郎委員長)
p79:能力は相対的評価ではなく絶対評価、能力等級とポストは関係ない。ポストなしの専任職課長もOK
p85:日本型成果主義の徹底とともに、時短の促進、雇用形態の違いによる待遇差別の改善、後払い賃金という意味合いが強い賃金カーブの是正などもあわせて行う必要があります。


3 「Japan as No.1」の空騒ぎと、日本型の本質;
p93:「給料は仕事で決まる」という職務主義を軌道修正し、「給料は人で決まる」という能力主義アメリカに浸透し始めた。それが「コンピテンシー」です。
p104:「欧米は同一職務同一賃金という職務給体系があるが、日本は学歴・年齢・企業規模により給与が決まる非合理な社会」という神話が、(小池さんにより)見事に打ち砕かれています。
(5)『人本主義企業』伊丹敬之1987年
p117:人本主義は、企業の概念としては従業員主権であり(資本主義は株主主権)、シェアリングの概念という点では、分散シェアリングであり(資本主義は一元的シェアリング)、市場の概念という面では、組織的市場(資本主義は自由市場)という特徴を持ちます。


4 栄光の余韻と弥縫策への警鐘;
(6)『心理学的経営』大沢武志1993年
(7)『日本の雇用』島田晴雄1994年
5 急場しのぎの欧米型シフトとその反動;
6 雇用は企業ではなく社会が変える;


{7/1日曜読了、記入は2未明:メモは作成途上}