- 作者: 中田亨
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/01/18
- メディア: 新書
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ミスについて、本著には、行動科学や心理学的な知見が、たくさん盛り込まれている。設問への答えを考え、一種「罠」に嵌められることで、ミスを犯す危うさについて、よく気づかせてくれた。この分野では、畑村洋太郎さんの「失敗学」がよく知られ、自分も読んできたが、「ヒューマンエラーの研究者」という著者には、複合的な視点で、次の時代を担うことを期待したい。
例えば、p22の問題
「群馬県の県庁所在地は、「タカサキ」でしょうか、「タカザキ」でしょうか?
には見事に引っ掛けられてしまった。ミスの対策については、p27〜で、
1)「能力がないからミスをする」のではなく、「むしろ能力の副作用でミスをする」へ
2)「ミスの大半は素人がしでかす」から「玄人のミスも警戒スべき」へ…
職場の体制を改革することでミスの鎮圧をめざすことが、企業のミス対策のあるべき姿(p28)
この他、印象に残った点を以下、引用。
p60:不確かさを意識すれば、事務の各工程が果たすべき任務は、「仕事の不確かさを問題の無い範囲内に収めること」と言えます。
p94:やり直しがききく範囲内で、異常に気付くチャンスを与えることが、ミス対策の最大の要点
p108:忘却されやすい事例や、数を間違えていけない事柄は、物体でたとえることで管理すれば、かなり安全です。(ex鉄道のタブレットなど)
P121:ゾーニングで異常源逆探知体制を作る(ゾーニングの大切さ=管理監督、流出防止、紛失防止
p130:ミス防止の主役は。「作業確実実行力」から「異常検知力」に移ってきました。(現在の生産体制ではひとつのミスが全体に広がらないようにしているから)
p135:人は教えている時に学ぶ(セネカ)⇒ミスの経験がないのに熟練している人は、人に仕事を教えた経験がある。
p138:やり忘れの元凶である「揃い待ち合流」を避ける(ex坂道停車で、ハンドブレーキとキーを抜く)
p198:教育工学ケラーの[ARCS理論」=通達を無力化する4つの「ない」⇒これを「ある」へ
1)つまらない ⇒ 面白そうだ :文字のみから図解へ
2)自分に関係が無い ⇒ 使えそうだ :読者の立場にたちどう使うのか手順を説明
3)自信が無い ⇒ やればできそうだ :難しくて守れそうにないから簡単レベルに
4)できてもうれしく無い ⇒ できたら楽しそうだ :達成感で目的や意義を教え、競争で表彰
P200:チャーチル首相のお触れ:P200〜
◯どの文書も1ページ以内に納めること
◯要点を箇条書きにする
◯明確に言い切ること
P203:手順主義でマニュアルを。概念定義主義では避けるべき。
P204:文書を仕分けして管理する⇒情報の性質に応じて、書き留める←場所の確保、
{6/28読了、記入は30夜7/1未明}