読書録

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テレビじゃ言えない 小学館新書

 週刊ポストの連載『21世紀毒談』から反響の大きかったエピソードを抜粋して大幅加筆してまとめた(p190)という本書は、政治から下ネタまで、毒舌で切りまくっていて、ある意味心地よい。これができるのはさすが著者だからこそということか。

 逆に、いまのテレビがリスク対応に追われ、面白くなくなったということの裏返しなのかも知れない。著者は「自主規制がひどくなっていて、かつてのような言いたい放題、やりたい放題がどんどんできなくなってきているんだ」p3と、はじめに嘆いている。


発刊した小学館のサイト⇒ https://www.shogakukan.co.jp/books/09825292


 印象に残ったところをいくつかポイント引用して以下に。しっかりメディア論にもつながっている。
◇何が「一億総活躍社会」だ。…「一億総自主規制社会」だと思っているp16
◇「真実を報じるのがテレビ」なんて認識は間違いで、「真実をオブラートに包んでしまうのがテレビ」p20
◇「世の中にはネットに書かれていないもっと深い世界がある」ということに思いが至らないp27
◇トランプはけっこうクレバー…北朝鮮との危機を煽って緊張をわざと高めておいて、ニッポンと韓国に武器を売りつけるという作戦かもしれないぜってね…金正恩を…挑発するんじゃないのp53←このあたりは、本質を見る目があるということか・・・
◇映画記者の質問で一番バカかと思うのは、テーマはずばりとか一言で表すと、などサラッと言えるわけがない、手間暇かけて撮って作り手に怒られなくてもわかりそうだがp74


 加えて、さまざまな毒舌、エピソードやコラムが、なかなか楽しい。
◇山形人排斥運動、ビートきよしさんみたいな田舎くさいのを、東京から全部追い出す
◇戦メリで大島渚監督、「トカゲ事件」、冒頭思うような動きをせず「お前はどこの事務所だ」と本気で怒ったというp130
高倉健さん夜叉の撮影で感激して紹介し、「タケちゃんのせいで座れない、暖房も使えない」ことにp142
タモリは白米のようなタレントだが、「最終的には「芸」ってのは、「人柄」だったり「味」みたいなものがモノをいうんだ。そいうのは絶対に人前でのライブじゃないと磨かれないp162


 生き方についてのアドバイスもなかなかで、以下に引用:
p169:すべての中高年に言いたいんだけど、家の中でも、職場でも、近所のコミュニティでも「いいジジイになろう」なんて考える必要はない。自分の思うように生きて、その結果として若者にとっちゃ目障りで迷惑な存在なって、「お前なんて早く死んじまえ」と思われるぐらいのほうがよっぽど健全だろうってね。…常々言っているんだけど「未来の子供たちのために」とか「子供にツケを残すな」なんてキレイゴトを並べるヤツは、とにかく疑ってかかったほうがいい…大ウソをつくんじゃねぇとp170


 こうした本音がきっちりと言えて、それが共感を呼べる才能というのは、すごいことなんだろうと思う。マツコ・デラックスさんもよくテレビに登場しているが、通じるところがあるような気がする。トランプ大統領の登場で、ますます「きれいごと」に対する嫌悪感というのが広がっているのか?「思うように生きる」さじ加減がなかなか難しいようにも思う。と考えてしまうところで凡人なのだろうけど。


{2018/6/27-29読了、記入は6/30土}