- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/07/05
- メディア: 文庫
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テレビドラマは見ていなかったので、先に本を読むことができたが、この著者のストーリー展開は、とても面白いと改めて認識した。下町ロケットは年末にかけてテレビで視聴し新聞連載でも読み、視聴率が良かったが、こちらはネットで検索すると12.55%と振るわなかったという。半沢直樹でも視聴率は良かったが、同じ作者で、話の内容も面白かったことから考えると、一体何が影響したのか興味深い。
また、この作品では、従来の仕事面だけでなく、家族や身体に危害が及ぶようなサスペンス要素が盛り込まれているところも新鮮味がある。一方、銀行からの出向者としての仕事のあり方というのが、半沢直樹でも下町ロケットでもテーマになっていたが、出向先で悪役にスカッと反撃する場面は、日々いろいろあるなかで、いずれの作品でも心地よく読める。ドラマで何度も見返してしまうことがあるのは、勧善懲悪パターンではあるけれども、清々しい気持ちになりたいからだろうか。
舞台の「わが家」がセンター南で、鴨池公園など知っている場所が登場することも、イメージができたので楽しかった。
発行した小学館のサイト⇒ http://www.shogakukan.co.jp/books/09408843
この著者の作品には、心に残る言葉がある。いくつかを以下に引用
p325:
人間は、だれだってひとりなのだと。
そして、それぞれの人生を生きている。様々な困難に耐えながら。正しいことさえしていれば、いつかは報われる-そんな価値観はとっくの昔に時代のハイウェイから放り出され、粉々になってしまったということも。
いま倉田がすべきことは、自分の草原を取り戻すことかもしれない。ひとりの人間として、相手に毅然と接することかもしれない。すべては、自分らしく生きるために。
p437:(結語)
そして気づいた。
この人たちにとって、倉田もまた名もない人間であることに。
そして倉田もまた、自分の人生を必死で生きているひとりの人間であることに。
{1/3-5読了、記入は10}