読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

あなたの知らない大阪府の歴史 歴史新書

 その地域を知るには、歴史と地理と人。というのが経験的にあるが、このうち歴史については本から入るのがわかりやすい。特に小中学校の郷土史テキストがよく、副読本でかなり昔にはマンガなどでもわかりやすい書籍があったかと思うのだが、今回は、去年発行された歴史新書を手に取ってみた。

 歴史への関心度合いもあると思うのだが、古代や戦国についてはなんとなく知っていた話があるものの、鎌倉以降戦国に入るころまでというのが、どうも頭に入りにくい。かつて大河でこの時代を扱ってなかなか視聴率もとれないのは、多くの人もなじみがないということなのか。楠木正成南朝というのは、近畿各地を旅するといろいろ痕跡がのこっているが、またいろいろ読んでみよう。


出版した洋泉社のサイト⇒ http://www.yosensha.co.jp/
(本著はなぜかひっかからないが他府県のシリーズはあり)


メモしておきたい点をいくつか
◇三輪王朝から河内王朝への王朝交代説p25、が記されているが、北九州からの関連など、最近の考古学の成果を踏まえながら、この時代については、かつてよく読んだ黒岩重吾さんの小説も思い起こす。

◇府名「大阪」の起源は、日本書紀の歌から、「烏瑳箇(をさか)」という説あるが、蓮如の「生玉乃庄内大坂」表記の最古の記録(1496)。また難波は、上町台地北端の潮流が激しく「浪速」と呼ばれ、白い波頭から「浪華」とも称したという。p36-37

三好長慶松永久秀(p84-85)のあたりは、本著の記述だけでは人間関係や歴史背景を理解するのが難しい。裏切りや奈良の大仏を焼くなど、いろいろあったという記憶があるのだが。

◇江戸時代、摂津、河内、和泉の摂河泉(せっかせん)の中では反乱防止のため大藩が置かれず、最大の藩は、岸和田藩の5万3千石で、摂津に高槻藩3万6千石、河内には狭山藩1万石などで、城下町として栄えたのは岸和田と高槻

◇元禄期に大阪が天下の台所として繁栄し、主役の町人たちが独自の上方文化を花咲かせた。井原西鶴近松門左衛門など(p122-127)。ただ、その作品を実際に知っているかと言うと怪しく、まもなく放送が始まる時代劇ドラマ『ちかえもん』で、曽根崎心中秘話が取り上げられるので、もう少し知っておきたい。

◇大阪を荒らしまわった「浪速五人男」を題材にしたという歌舞伎や人形浄瑠璃(p131)は、正直、これまで接したことがなかった。

◇既知ではあるけど、朝日と毎日は大阪が発祥の地をメモp156、「文庫」のことばは、立川文明堂が大流行させた講談叢書「立川文庫」とは初めて知った。p162

吉本興業が演芸場の名前を統一した「花月」の名は、落語家・桂太郎が「花と咲くか月と陰るか、すべてを賭けて」という意味を含んでいるというp167

◇京都の「霊山歴史館」と奈良の「飛鳥保存財団」の設立に松下幸之助氏が尽力していたとは、知りませんでした。p174-175

◇一部既知ながら、近鉄営業キロが500キロ以上ある私鉄として日本一の路線網ありp176、インスタントラーメンの父・安藤百福氏が開発でめざした5条件は、おいしいこと、保存性があること、簡単に調理できること、安価であること、衛生的で安全であること、だったということをメモp178-9


{1/05-09読了、記入は10}