読書録

読書整理用のダイヤリーから移行しました19/1/26土~

小説 新聞社販売局

小説 新聞社販売局

小説 新聞社販売局

 新聞社が販売店に販売実数以上に購入させる、いわゆる「押し紙」問題や、背景にある購読者の減少と公称部数の水増しの実態などが描かれ、著者本人のネットに掲載されているインタビュー記事などもあわせて読むと、実態に近いのではないかと考えられ、極めて興味深い内容となっている。


発刊した講談社のサイト→ http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062197090
著者のインタビュー掲載記事
・BLOGOS→ http://blogos.com/article/152549/
ダヴィンチ・ニュース→ http://ddnavi.com/news/263781/a/
・NETIB-NEWS→ http://www.data-max.co.jp/271007_os01/

 とりわけインタ記事を含めてあわせて読むと、以下の実態は実際にあるようだ。
・読者に配達されない「残紙」が3割もある
・担当員の立替は、表向き禁止されているので、回収できないと入金の「肩代わり」になり、お金がらみの不祥事につながる
・「懸賞には外れましたが、新聞を一年購読契約してくれたら差し上げます」という手はあり、個人情報保護上課題
・購読契約書を捏造して歩合を稼ぐ “てんぷらカード”という手法がある
・「販売店にとって新聞は折り込み広告の包み紙」で押し紙が減ると折り込みチラシも減るので販売店は減収になる、
・宅配制度により、デジタル化も進めにくい要因


 また、IB NEWSのインタビュー記事の中には、「デスク時代に大阪地検特捜部の証拠改竄事件が発生。往時の従軍記者のように検察に唯々諾々として戦果を書き立てるばかりの、これまでの検察報道に疑問を呈する原稿を執筆したところ、事件記者上がりの大阪本社編集局長が激怒。幸田さんは社会部デスクを1年で外され、そのまた1年後、販売局に異動させられることになった。このあと2年間の販売局勤務で見聞きしたことをベースに書かれたのが『小説 新聞社販売局』である。同書は、膨大な押し紙の存在が新聞販売店の経営を圧迫していることを、販売現場で知った情報をもとに迫真のタッチで描いている」と紹介されていることから、この小説の多くの部分が、自らの体験ももとに描かれたとも考えられる。


 新聞の課題として、この読書録で、『新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書) 河内孝 新潮社』 http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20081105 (←PC上、モバイルではこうなると初めて知る)が興味深い内容だったが、著者は同じ新聞社なのかも知れない。また、小説で描かれている「泉寿会」は、河内氏が業務提携を提案していた先というような話も小耳にはしたけれども、裏付けほかないので、あいまいなままメモしておく。


 折込チラシについては、リクルートの「タウンマーケット」というサービスが2008年から始まり、当時住んでいた地域には配られたので便利だったけれど、新聞業界と何かあったのか?2011年には終わってしまったことを思い出す。一方で、クックパッドから今は「トクバイ」に移行されたが、生鮮食料品のチラシは、ネットでも見ることができるようになった。ただ、紙の方が一覧性があって見やすいという気もして、なかなかアクセスすることはないのだが・・・
 紙の新聞の有用性ということでは、1月6日(金)のあさイチで、池上彰さんが読み比べることの重要性を話していたことを思い出し、どんな内容だったかネット検索してみたら、全文書き起こし、というサイトがあることに気づく→ http://kakiokoshi.hatenablog.com/entry/2017/01/07/230610 これは著作権法上、大丈夫なのか?、また自動でやっているのか人力だと大変だろうなどと思いつつ、ここにメモとして残しておく。池上氏は著書にも書いているが、紙の新聞を読み比べ、また発見があるのが良いということで、コラムを読みながら結論が予想できるようなら勝ち、驚く展開なら負け、などと考えているというのは面白かった・・・
 年末年始は、バタバタしていて、ようやく久しぶりにこの読書録に書き込み始めたら、支離滅裂になってきて反省。12/18以降、いくつか読んではきたので、このあとは要点だけにしないと、記録が終わらない恐れあり・・・


 本著については、ネットによって、既存のビジネスモデルがどんどん崩れていく中、新聞の宅配制度がどうなっていくのか?なかなか悩ましい問題ではあり、一石を投じた内容だと改めて思う。小説としても極めて面白く、次は何をテーマに書くのか、著者にも注目したい。 


{2016/12/18-2017/01/01読了、記入は1/8}