読書録

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徹底調査子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃 文春新書 1092

 日本社会は、いまや6人に1人(16.3%)の子どもが貧困で、これをヒトゴト(他人事)ではなく、「ジブンゴト」にして考えていくために、経済的影響の推計を細かく示している。このまま放置すれば、43兆円が失われ、政府負担も16兆円増える(p74)という問題意識を、より広く社会が共有して、対策を講じていく必要性を訴えている。この社会積損失推計については、下記の日本財団のサイトにPDFが掲載されている。


◇発刊した文藝春秋のサイト→ http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610921

日本財団「子どもの貧困の社会的損失推計」レポート→ http://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2015/71.html


 本著で、貧困から抜け出すための支援を考える上で、「自立する力の要素」として、
1)お金、2)学力、3)非認知能力(意欲ややり抜く力など)をあげ、最後の「やり抜く力」の重要性については、TEDでペンシルバニア大学のアンジェラー・リー・ダックワースによるGritについても紹介している(p137)。

 また、海外における研究成果として、子どもの貧困は政策的な対応によって解決可能で、その効果は教育面にとどまらず、長期的な影響を与え続けるので、投資対効果は非常に大きい(p181)とし、教育格差の解消によってメリットがあることも本著で示している。高齢者への対策が54.9兆、子どもを含む家族は6.6兆でおよそ8倍の開き(一人あたり4〜5倍)があることについて、「おわりに」(p224)で改めて触れ、感情ではなく冷静に考え行動するかが問われていると、問題提起を行っている。

 支援で何ができるか?巻末の方には、子ども食堂でのボランティアなど、リンク先も紹介しておるので、ここにも記載→ http://kodomoshokudou-network.com/ 「関連するニュースをSNSでシェアするだけでも良い。我々一人ひとりの関心が積み重なって、社会で問題が継続的に注目されれば、支援の機運が高まっていく。その関心を高めるきっかけとして、そして多くの方にこの本が届けばよいと願う(p221)」としている点は、共感できる。


{2016/12/19-2017/01/03読了、記入は1/9}