- 作者: 辛坊 治郎
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 単行本
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数字やグラフ、強調する赤茶文字を使って、わかりやすく問題を解説しているが、中でも「記憶すべき数字」として、以下を効果的に使っている。
1:一人当たりのGDP 日本は世界17位、
2:厚生年金の収支 1・7兆円の赤字
3:国・地方の長期債務残高 約862兆円
4:新規国債額 44・3兆円、
5:中国の経済成長率8・7%日本の経済成長率マイナス2・0%、
6:消えた年金のうち未統合分 約3616万件
7:国民医療費約35・3兆円 うち75歳以上約12兆円
8:年金の積立金予想利回り 4・1%
9:厚生省から製薬会社への天下り 幹部だけで39人
10:阪神・淡路大震災の死者6434名 住宅全半壊約25万棟
著者の主張は、最大の社会問題は、格差ではなく日本の貧困化であり、このまま借金を重ねる財政状態では高齢者の年金・医療制度は破綻するとして、消費税の20%アップにより将来に備えるべきだとする。現状における高齢者と若者の格差については、先に読んだデフレの正体と共通する論点があった。
震災やハイチへの自衛隊派遣の遅れや愛国心論争への批判などの項目を読むと、基本的には保守系的な立場なのかと思いつつ、政策的には消費税増税による北欧型福祉の大きな政府をイメージしているようでもある。この絶妙なバランスが、テレビ界でニュースキャスターとして活躍している背景にあるのかも知れない。
また、タバコを吸わない著者が、「日本で他の負担を低いままにして、タバコを吸う少数の人だけに、社会保障全体の費用負担を押し付けようとする発想は危険だと思う。みんなで使う金はみんなで負担する、この当たり前の前提が崩れた社会は必ず荒む」(p160)と、一箱1000円への増税に「ヤな感じ」と言うところは、なるほどという論理ではあった。
(目次ー引用)
序章 ここが恐ろしい日本の真実・総論;
第1章 日本は破綻するのか;
第2章 日本の崩壊は年金・医療から始まる;
第3章 騙されないための知恵;
第4章 政治家という人種;
第5章 日本政府は命を守れるか;
第6章 不思議な不思議な日本の情景;
第7章 日本の教育を考える;
最終章 破綻を免れるヒント;
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