読書録

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デフレの正体

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

著者があとがきに書いているように、この本の要旨は、「経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」(p268)という客観的な事実で、様々な数値を駆使しながら説明をしている。
ちょっと単純化し過ぎではないかと思うところもあったが、このままでは破綻していく可能性は否定できず、今回書かれている視点で考えることも必要なのだろう。
自虐史観ならぬ自虐経済観→中国のせいで日本が没落するという考えに対して、中国が繁栄するほど日本も潤うという点を、明快に示して(p41)批判しているのは、その通りだろう。

(目次ー引用)
第1講 思い込みの殻にヒビを入れよう;

第2講 国際経済競争の勝者・日本;
p48:我々が目指すべきなのは、フランスやイタリアやスイスの製品、それも食品、繊維、皮革工芸品、家具という、「軽工業」製品に「ブランド力」で勝つことなのです。

第3講 国際競争とは無関係に進む内需の不振;

第4講 首都圏のジリ貧に気づかない「地域間格差」論の無意味;

第5講 地方も大都市も等しく襲う「現役世代の減少」と「高齢者の激増」;

第6講 「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀;

第7講 「人口減少は生産性上昇で補える」という思い込みが対処を遅らせる;
p168:生産年齢人口=消費者人口の減少→供給能力過剰→在庫積み上がりと価格競争激化→在庫の時価の低下(在庫が腐る)・・

第8講 声高に叫ばれるピントのずれた処方箋たち;
p201:アジアに低価格大量生産品を売り続けるのではなく、日本で売れる商品を生み出し、日本で儲けられる企業を育てることで、高齢化するアジアに将来を示す。これが日本企業の使命であり、大いなる可能性なのです。

第9講 ではどうすればいいのか(1)高齢富裕層から若者への所得移転を;
p211:今世紀前半の日本の企業社会最大の問題は、自分の周りの環境破壊ではなく内需の崩壊なのですから、エコと同じくらいの、いやそれ以上の関心を持って若者の給与を上げることが企業の目標になっていなくてはおかしい。

第10講 ではどうすればいいのか(2)女性の就労と経営参加を当たり前に;
p233:「若い女性が働いている県の方が出生率は高い」という事実を認めないと、日本経済が死んでしまいます。

第11講 ではどうすればいいのか(3)労働者ではなく外国人観光客・短期定住客の受入を;

補講 高齢者の激増に対処するための「船中八策」;
1:生活保護の充実、2:年金から生年別共済へ、3:戦後の住宅供給と同じ考え方で進める医療福祉分野の供給増加

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