読書録

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新聞・TVが消える日

新聞・TVが消える日 (集英社新書)

新聞・TVが消える日 (集英社新書)

3年半前に書かれた本著だが、基本的な時代状況や背景は変わっておらず、どこへ向かっていくのか、いまだに判然とはしない。むしろ技術は、スマートフォンや携帯端末の普及が加速化していて、さらに放送と通信が一体となってきた感がある。新聞各紙も、デジタル新聞の囲い込みを狙っているようにも思える動きが相次いでいるように見える。では未来はどうなるのか?著者があとがきで記したように、”読めない”のが正直なところだろう。日本の家電メーカーがテレビで苦境に立たされるなど、いつごろから誰が予想できたのだろうか?新聞やテレビは消えざるを得ないのか・・?



(扉ー要旨)
テレビが消える!?大手新聞社が崩壊!?そんなシナリオが真実味を帯びてくるほど、進化したインターネット。ウェブに侵食され、変革を迫られるコンテンツ産業(テレビ・新聞・出版・音楽・ゲーム)は、この時代をどうやってサバイバルしていくのか。「放送と通信の融合」の真の意味を解きほぐし、新聞業界の窒息を資本の閉鎖性・過少性とからめて論じるなど、「元・経済部デスク」の確かな眼で日本のコンテンツ産業の構造と未来を見通す。


(目次ー引用)
第1章 テレビとネットは融合するか;
・なぜネットでテレビ番組を流せないのか;
・放送側は、「そろり」と動き出したが…;
・「情報通信法」構想が浮上;コンテンツ、伝送インフラ、プラットフォームの3区分に。
・「融合」報告書に批判が渦巻く;放送法でテレビラジオには「政治的に公平であること」を求めている。
著作権や制作に関心がうすい通信側;
・マルチユースで稼ぐ映画ビジネス;
・ネットに同時送信をすれば、民放のビジネスモデルは崩壊する;民放の広告収入は年間2兆円で頭打ち。
・NHKをしばる放送法の壁;07年の法改正で年間10億円上限から40億円へ→VODは付帯業務、情報通信法で本業?。
・「局制作」でも二次市場に出せる番組は、わずか→二次利用の「許諾」はなかなか、得られない;
・動画配信のビジネスモデルはみえない;
・YouTubeとは「敵対」から「折り合い」へ;ジャスラック包括契約を結ぶ。
・ウェブ動画の人気がテレビ局の反省材料に;連続ドラマが話題になると過去から見るようになるケース。
・放送済み番組のネット配信の機は熟した;ネット公開が結果的に視聴者の放送への回帰を促す、プラス効果さえ生み出した(p86)「ロングテール現象」


第2章 「紙離れ」はどこまで進むか;
・朝刊を読むのは2軒に1軒!?;東京都中野区で48.53%。
・若年層の「新聞離れ」は急ピッチ;
・凋落10年ー出版不況はいつ止まるのか;1996年に2兆6563億円がピークの出版市場、2007年には21%縮小。
・「活字離れ」ではなく、「紙離れ」が正解;日本語ブログは37%で世界一と総務省の調査。
・★「ウェブ・ファースト」と「参加型ジャーナリズム」;2005年ごろから米国紙、生活報道重視、地域密着情報の掘り起しとSNS機能で対話型コミュニケーション。
・ウェブ進出と新聞事業との「共食い」は止まらない;全米1000超える新聞社サイトのうち、課金方式は数十サイトで、広告モデル。
・新聞社サイトでは広告を集められない;MSN産経ニュースなど5サイトで9億pv月間が黒字、ネット事業全体では日経のみ黒字。
・巨大サイトへのニュース提供が禍根を残した;産経は2007年10月にウェブファーストに。ニュースはタダで、新聞離れを助長。
・ネットは新しいジャーナリズムになりうるか;産経の法廷ライブ中継が好評。


第3章 ネットになじむ音楽市場;
・「インディーズ」サイトが続々と;
・「CD不況」だが、「音楽不況」ではない;ライブコンサートのビジネス。
・楽曲はネットと相性が良い→ネットの向き合い方は、さまざま;作詞・作曲家、歌手、演奏家、レコード会社、音楽プロデューサーなど楽曲の著作権著作隣接権を持つプロ側(供給側)は、違法な音楽流通に神経をとがらせている。一方で、ネットによる楽曲配信が急成長している現象を見すえて、著作権の権利主張をほどほどに得策、との空気も広がっている。


第4章 転機を迎えたゲーム産業;
・「世界の宮本」が2人;ファミコン開発者&08年秋葉原通り魔事件の犠牲者でゲーム腕前。
・専用機種のいらないオンラインゲーム;会員100万以上は、ラグナロクオンライン(ガンホー)、リネージュII(エヌ・シー・ジャパン)、スカッとゴルフ パンヤ(ゲームボット)。
・オンラインゲームは韓国が先鞭をつけた;
・ハードは復調、ソフトは低迷;ファミコン登場は1983年、06〜07年にWiiやPS3、PSP、DSなど。
・オンラインゲームはなぜ伸びるのか;ソフトがネット上で供給される購買変化。


あとがき 「コンテンツ=文字や映像などによる表現物」、「コンテンツ産業=表現のビジネス」ここ数年のめまぐるしい動きをトレースするのに精いっぱい。

{11/5-12読了、記入は14作業中}