- 作者: 角川歴彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 単行本
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クラウドの登場で、いかに放送と通信、および出版の世界が変わり、ギャング4(アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックorマイクロソフト p50:グーグルCEOシュミットが言い出した言葉:圧倒的な支配欲とブランド力でルールを日々変える)が、将来を見据えて競争にしのぎを削っているか、技術的に専門的なところもあるが、時代が大きく変わっていくこと、その際に著作権の問題はクリアにしておくべきことがよくわかる。この選書シリーズは、KADOKAWAの危機感が現れているともいえ、今後の動向を考える上で、とても参考になる。
出版したKADOKAWAのサイト→ http://www.kadokawa.co.jp/product/311970400000/
目次はセブンネットにあり→ http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106324243/
ドワンゴの川上氏との連携についても、本著を読めば背景が理解できるところがあるが、内容が盛りだくさんで、印象に残ったポイントは別の日にピックアップした以下。
◇(ジョブズによる創造と破壊のイノベーション成功の源は一つのキーワード、プレゼンによく出てくる)ユーザーの体験「ユーザーエクスペリエンス」の完膚なきまでの追求。気軽に24時間身につけたり、身辺においてフレンドリーな感じを与える p17+ジョブズを天才にしたのは、最も大切にしたユーザーエクスペリエンスが大衆の人気を博したからが近いが、最大の理由は現代社会の閉塞感を破ったからだったと思うp71
◇IT治術が大衆のライフスタイルを根本的に変える力を持っている…インターネットほど大衆の生活そのもののに影響を与える技術は他にない。p50+テレビのスマート化は家電業界の反発を招くため、飛び越してテレビをスマートハウスのデジタルハブにしようというビジョンを共通の戦略としつつあるp189
◇巨大化した企業同士の壮大なバトルはいずれ決着し、遠くない将来、モバイルコンピューティングは互換性システムに向かって動き出し、クラウドの理想ともいうべき「オープン」なデバイスフリーが実現するp76
◇p92:次世代の経営者には映画界も出版界も、そしてテレビ業界も、デジタルディストリビューションと著作権を書くとした知財に明るい人が求められる。そうでなければ、インターネットの技術が目まぐるしく変わる次世代のビジネスモデルは構築できない。
◇ツイッターやフェイスブックで人気のないリンクは2時間で感心が失われ、人気のあるリンクは11時間以上続くが、17時間たつとクリックはほぼ終了する。人の関心は一日単位で入れ替わる。p94
◇(地デジ実施とテレビがネットに接続できることが知られ、家庭内への無線LANの普及率が75%に達する中)テレビの楽しみ方を高める4スクリーン(スマートフォン、スマートパッド、PC、スマートテレビ)と、スマート(賢い)をコンセプトにした新時代が間近に迫っているp113+YouTubeこそ本命で、インターネットの覇者はグーグルになりつつあるp136・クラウドサービスが音楽を戦場として始まったのが2011年、iCloud6月、地デジ化は7/24 p143
◇エコシステムというバズワードはIT世界から生まれたが、概念を発明したのはジョブズp142
著者は、p130〜「テレビがなくなる日」として、テレビ局がテレビ放送のみを映す器としてテレビを位置付けるならば、デジタル世代のテレビ離れは止まらないし、視聴者のニーズが減っている現実は変わらないとして、二つのシナリオを提示している。
一つは、ハードは残るが日本市場はサムソンなど外国勢に独占される恐れ。パナソニックは地デジまでテレビの進化論を推進、ソニーは4スクリーンイノベーションを代表し、世界の二大潮流を反映。プレイスシフト、タイムシフトの視聴の変化への対応が必要。
もう一つは、テレビというハードがなくなる恐れ。米報告で、すでにモバイルやタブレットがファーストスクリーンに。たとえばツイッターをするのが目的で話題探しでテレビを見るなどながら視聴、日本ではときどきも含めて48%という調査もある(メディア定点調査2013)加えて、モバイルやタブレットの高画質化・高機能化により、テレビやPCは不要ということになりかねない。
そのうえで、紙の独自性でとってかわらないものがある実感から、テレビも独自性があれば存続するという考え方を示す。家族関係を密にするディスプレイとして、スマートハウスの中核としてホームセキュリティのディスプレイとして進化、消費電力のスマートメーターなど、「クラウドサービスの家庭用受信機となることが、次世代テレビのあり方だと私は思うp135」と記している。
テレビへのギャング4の攻勢が凄まじい中で、著作権法を強化して保護しつつ、コンテンツを産業著作権として活用する必要性を説いている。
ネットでは、ワールドカップの観客をとらえた写真で、今回のブラジルと4年前を並べて比較し、デジカメが消えてスマホになったかを、一目で分かる形で紹介している記事があった。いまや電車で新聞など紙媒体を開いているひとを見ることはない。モバイルコンピューティングの世界はどこまで進むのか、この分野はよくよく見ておく必要がある。
{7/1-12読了、記入は13+19}