読書録

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学問のすすめ

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

 

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」というあまりに有名な言葉は知っていても、本書に何が書かれているか、知らなかった。この書店のシリーズの福翁自伝も面白かったが、福澤諭吉の考え方の柔軟さ、物事を見る目というのは、混迷する今の時代にも十分通用するように思う。普通に役立つ実学を説き、孔子でもおかしいところはきっちりと批判する。何より、昨今のもりかけ問題ではないが、よらしむべししらしむべからずということが、国家社会にっとってもいかに良くないことなのか、基本的人権がいかに大切なのか、「日本には政府はあるが、いまだ国民がいないp56」という状況は、ひょっとしたら今もあまり変わっていないのかとも考えてしまう。


 初編にある「大事なことは、人としての当然の感情に基づいて、自分の行動を正しくし、熱心に勉強し、広く知識を持って、それぞれの社会的役割にふさわしい知識や人間性を備えることだ。そうすれば、政府は政治をしやすくなり、国民は苦しむことがなくなり、お互いに責任を果たすことができる。そうやってこの国の平和と安定を守ることが大切なのだ」p19-20など、胸に刻んでおきたい。


 「文明の精神と呼ぶべき最も偉大で最も重要なもの・・人民独立の気概が足らず、無気力p67-68」「文明を行うのは民間の人民であり、それを保護するのが政府であるp72」という点についても、いまだに課題になっているように感じる。


 「人間最大のわざわいは怨望であって、その原因は「窮」なのだから、言論の自由は邪魔してはいけないし、行動の自由は妨げてはいけないp171」も今に通じることだ。そして本書の最後に「人間のくせに人間を毛嫌いするのはよろしくない」p230としめているのも面白い。



発刊した筑摩書房のサイト→ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064707/



 今後に生かしていきたい点として、「人間の見識、品格を高めるため」にすることとして、p156「物事のようすを比較して、上を目指し、決して自己満足しないようにすること」と指摘しているが、これは歳を重ねても忘れることなく心がけるようにしたい。


 それにしても6月末になったが、忙しい月で、本もほとんど読めず、まとめて月末に読書録に登録しているところ。異動の季節はバタバタするし、喜怒哀楽さまざまあるが、本書を読むと、どう生き、考えるのか、について考えさせられた。

{2018/6/22-27読了、記入は6/30}