読書録

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大脱走

大脱走 (小学館文庫)

大脱走 (小学館文庫)

 倫理的に許されない仕事を命じられたら、どう取り組んだらよいか。このところ、神戸製鋼のデータ改ざんや、日産などの不正検査など、ものづくりの信頼が問われるような事案が続いて報じられているが、その当事者になったらどうするか、ということをも考えさせてくれた。


発刊した小学館のサイト⇒ https://www.shogakukan.co.jp/books/09386424


 ヒロインの片桐いずみは、住宅リフォーム会社に入るが、リフォーム詐欺の営業を奨励するブラック企業で・・とこれ以上書くと、扉の部分を超えてネタバレになりそうなのでやめておくが、そうした中でも一所懸命取り組むヒロインの姿、ハッピーエンド的な展開など、楽しく面白く読めた。また、部下になった新人・俵がヤル気のないとんでもない男で指導に苦労するところなど、これまた昨今ありそうな展開で、自分だったらどうするかなども考えさせられた。


 スマホをチェックして、上がっている知り合いのフェイスブックの近況が、食事、映画、コンサートなど楽しそうで、ヒロインがいいねを押そうかためらいながら押して、「人間は素直じゃないといけない」p47と語らせたり、せっせと楽しんでいた写真がアップされてもあまり羨ましいとは感じなかったのは、自分の変化と、いろいろ変わっているかも知れないp213と思ったからなのか、あるあるのような感覚で、そうだよなぁと共感した。

 
 気に入った文言は、部長だった大木田の言葉p236から以下引用
「解決の当てがなくても、とりあえず何かやってみたほうがいいと思うぜ、俺は」(どうしてですか?)「今のままじゃいけないのははっきりしてんだから、やっているうちにいい知恵が浮かぶかもしんねえだろ」


 なお、著者の作品は、これが3冊目、この読書録では、以下2冊を読んでいたが、とても面白い作家だ。
2012-02-18 『ちょんまげぷりん2』
2010-12-07 『ちょんまげぷりん
 このちょんまげぷりんも、奇想天外なタイムスリップものではありながら、仕事と子育ての両立などにも思いを至らせてくれる内容だった。この作品も、いずれドラマなどで映像化されても面白いかと感じた。
 

{2017/11/7-10読了、記入は11土曜深夜}