読書録

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きいろいゾウ

きいろいゾウ (小学館文庫)

きいろいゾウ (小学館文庫)

第152回直木賞を受賞した(2015/01/15)西加奈子さんの作品で、2013年に映画化されている本著で、初めて著者の作品を読む。3/13には、テレビのインタビュー特集にも出演されていたが、擬音をたくさん使う独特な描写とキャラクターの濃さ、プロレスに元気をもらったという発言が印象に残っている。この作品も、登場人物や動物などが、ほとんどカタカナのあだ名になっていたり、表題の絵本のような童話と本筋との絡み合い、とても面白く、また惹きつける内容だった。
またちょっとしたことだが、缶詰3個300円、卵10円(1000円以上お買い上げに限り)p124などは、生活感のところでいたく共感を覚えた…足踏みミシンの音「だだだだだ だだだだだ」p370って、いつ以来聞いていないだろう…


出版した小学館のサイト(著者による紹介動画あり)→ http://www.shogakukan.co.jp/books/09408251

著者本人のサイト→ http://www.nishikanako.com/work.html


印象に残った文言など引用
◇(大地君からの手紙)
p253:『…強くても、弱くても、人間 つよしよわし だって。ちょっといいよね』
p467,468『…ツマさん、しあわせでいてください…元気でね。さようなら。』
◇p347:ごうん、ごうん。その音が、幸福だったなんで、思わなかった。赤や黄色や茶色の洗濯物がひらひらとゆれていることが、そんなに幸福だったなんで、思わなかった。
◇p426:(私・ムコさんの言葉)「僕が生きていた世界は、間違いなく僕のものです。僕が生きてきた、そして生きているこれこそ、僕の人生です。…(中略)変わらず、裏切らず、おもねることなく、そしてそれはそこにあるだけで、それだけで、安心して眠るに値するものだと、目覚める理由があるものだと知ったのです。そして、」そこで言葉を切った。雨音が強くなる。心臓が速くなる。それは、僕の心臓だ。「妻と出会いました。」僕の心に芽生えた確固たるもの。彼女の姿を見たとき、僕の心に浮かんだ確固たるものは、たったひとつだった。ツマを愛しているということ。
◇p429:
わたしは眠ります。
それがそこにあることを、知っているから。
わたしは、安心して眠ります。
それがそこにあることを、知っていたから。(←p453他にも)


文庫本の解説を書いた岡崎武志さんの言葉も備忘録としてp484:
・世にあふれる「速読術」など無視しよう。小説を読むのは恋と同じでね、最初がかんじんなのだ
というのも、忙しい今の時代だからこそ、そうだなぁと共感。


{4/15-19読了、記入は26}