読書録

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定年準備 人生後半戦の助走と実践

 著者はこの10年で会社員をしながら本を書きはじめ15冊を書いてきたが、去年4月に発刊された『定年後』が反響を呼んでそのニーズの大きさに驚いたと、あとがきで紹介している。
 確かに、定年をテーマにした本が増え、週刊誌での特集も、相続や健康、性対策など50代以上をターゲットにしたような内容が、ここ数年、目立つような気がする。
 会社生活では順風満帆だった前半戦から、40代半ばからは逆風や厳しい時を経験、本を書き始めて出版社を分析して2社に送り、うち一社が採用してくれていまに至る、という実体験に裏打ちされた内容に、納得感が得られる。


 覚えて置きたい内容をまず項目的に引用して備忘録に
◇「『定年後』は50歳から始まっている」というのが、取材を重ねてきた私の実感である。p10
◇40代半ばから揺れ始める具体的な発言は3つに集約できた:1)誰の役に立っているのか分からない、2)成長している実感が得られない、3)このまま時間が流れて行っていいんだろうか?
◇採用の基準は「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか(働きたいかどうか)が基準だ」+昔の知り合いから紹介される例が多いp85、
◇長くなった寿命に対応するには、自分一人だけではなく、ともに暮らしてきた家族、地域の仲間や学生時代の友人と協力することも必要だろうp147、
◇先達が歩んだ道筋に繰り返し自分を重ね合わせると、自分の進む道も見えやすくなるp185
◇若い時は仕事中心で過ごして、中高年になって関心のあることや自分に向いていることへ思い切って舵を切るというのが、仕事人生を乗り切るための一つの形ではないかと考えているp216+働くことや生活する意味に疑問を持ち、不満だと思う心理状態に陥った時、「自分が本来取り組むべきことは何か」「働くということはどういうことなのか」を深く考えるチャンスであり、新たな発想を生む可能性をはらんでいるp218

◇定年準備のための行動6か条p235〜が紹介されているが、それは本書を手に取って記憶に留めたい。



発刊した中央公論新社のサイト⇒ http://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/05/102486.html



 この読書録で、著者の本は以下2冊を記録している。実体験に裏打ちされた組織論には納得する部分が多かった。以下にリンク先と引用していた内容を再掲しておく。
◇2012-01-23 『人事部は見ている』 http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20120123
・自分のことを3割高く評価する傾向があり、評価や異動に満足しているのは3割程度
・p120:大企業における課長クラス以上の「出世の条件」を私なりに一言で表現すると、「(結果的に)エラくなる人と長く一緒にやれる能力」ということになる。 


◇2017-09-29 『左遷論 組織の論理、個人の心理』http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/mobile?date=20170929
・「左遷自体やその背景にある会社組織のことをよく知ることだ。くわえて、自分自身に正面から向き合うことが求められる。それらを通して、左遷をチャンスに転換できる余地が生まれる。…左遷ときちんと対峙できれば、人生を充実させ、イキイキとした老後にもつながってくるものと信じているp225」
・40代以降に再び評価を得るケースは、次の3点に限られるp168
1)過去に一緒に仕事をしていた先輩や同期からのヒキ
2)自分の上司や先輩社員が病気や事故によって出社できなくなったり、不祥事引責で姿を消す
3)女性登用など対外的なアピールのために特定の対象者の評価を引き上げる


 『定年後』がベストセラーになって、本屋では、SB新書シリーズで勢古浩爾氏著の『定年バカ』も並んでいたが、情報がさまざま出回る中、何が本当なのか、よくよく考えていきたい。

定年バカ (SB新書)

定年バカ (SB新書)

 

{2018/5/29-30読了、記入は6/3日曜}