読書録

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伝えることから始めよう

伝えることから始めよう

伝えることから始めよう

 新聞全面広告や、テレビコマーシャルなど、ジャパネットたかたを見ない日はないぐらい、よく見かけるが、その創業から今日にいたる沿革と取り組みを、まるでテレビショッピングをみているかのように語られる本著は、面白く、また、学ぶべき点が多々ある。
 引用しようと付箋した箇所は、最近読んだ中の本では最も多いぐらいで、今回は紹介記事の形でもリンク先をメモしておくが、最も繰り返し出てきたという印象に残ったのは、第1章の「今を生きる」「一生懸命に今を生きていると、課題が見えてくる」ということだろうか。p18で、「ここに線を引いてみてください、いいですか」として「今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない」が太字で出てくる。
 さらに複数の記事で取り上げられているポイントは、「できない理由を考えるのではなく、どうしたらできるか考える」ということで、スタジオを作って生放送に挑むところなど、仕事の取り組み方として心にとめておきたい。

 また、伝え方のノウハウとして、うまくでなくわかりやすく(p149)、面白く(驚きや発見、感動もp151〜2)、最初の1分間が勝負(p159)で内容を絞り、伝える相手を意識する(p163)ことなど、世阿弥を引用しながらさまざま紹介している点も、とても参考になる。ここまで露出していると複雑な思いがないわけでもないが、本著によって、会社のイメージがアップすることの影響も計り知れないように思う。


発刊した東洋経済新報社のサイト⇒ https://store.toyokeizai.net/books/9784492045909/
ジャパネットたかたのサイト⇒ http://www.japanet.co.jp/shopping/
⇒会社の沿革:http://www.japanet.co.jp/shopping/jh/company/companyhistory.html より本著関連で引用しメモ+加筆
◇1970年 大阪経済大学4回生で万博、英語とパチンコと麻雀(p71)ESSで外国人と会話するため16〜17回万博に
◇1974年 平戸でカメラ店の仕事を25歳で始め観光写真で工夫(p19)⇒翌年27歳で結婚(p29)
◇1978年11月 佐世保三川内店で、妻とスタッフ2〜3人でスタート(p37) 
◇1986年 1月 たかたカメラグループより分離独立し、「株式会社たかた」を設立。+37歳(p2、p47)+'89年商2億7000万(p86)
◇1990年 3月 NBC長崎放送で第一回ラジオショッピングをスタート。通販事業を開始+覚えやすいコピーと耳に残る音楽(p49)
◇1994年 6月 深夜の30分番組で「ジャパネットたかたテレビショッピング」をスタート。テレビショッピング開始+45歳(p261)
◇2000年 3月 インターネットホームページ開設。オンラインショッピング事業開始
◇2001年 3月 CSデジタル放送スカイパーフェクTV!」に、専門チャンネルを開局。生放送等全国放送を開始
◇2010年 7月 営業の拠点としてスタジオを兼ねた東京事務所を開設 ネットで年商600億になり部署を作る(p115)
◇2015年 1月 代表取締役社長に高田旭人が就任 +29年つとめた社長を退任、1年後テレビショッピングからも姿を消す(p5)

 
ブック・アサヒ・コムの書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2017020500015.html
ビジネス・ジャーナルの紹介記事⇒ http://biz-journal.jp/2017/02/post_17932.html
日刊ゲンダイの記事⇒ https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/198581



 メモしたいことがたくさんあるが、備忘録として、以下を引用
◇『ザ・ゴール』エリヤツ・ゴールドラット著 ボトルネック(本質的な原因)を解決すれば、全体の問題も解決p52

◇p112:やらなかった失敗はあっても、一生懸命にやった失敗はない

◇(2001年、反対された生放送に拘ったのは)生放送だからお客様に感動を伝えられると思った…緊張感は話し手の語り口を変える、臨場感も出てくる、お客さまの共感にもつながって、売上にも反映する(p125)+その瞬間の感動を共感できる
+失敗談として生放送中に携帯電話にでて切り忘れを謝る⇒心がつながっていてクレームがなかったのでは(p165)

◇何かを人に伝える時に大切なのは、スキルとマインド(=情熱:パッション)、そしてミッション(感動を届ける)(p133)

◇布団除菌クリーナー「レイコップ」の累計販売400万台のうち、200万を販売した背景に、安眠を助ける(p157-8)

世阿弥に共感(p172〜)し愛読書は『花鏡』『風姿花伝』で、「一調(整え)二機(間をとる)三声」で間の重要性を説く
+「ただ花を見る人の心に珍しきが花なり」(p192)=観客の心に新鮮な印象を与えるものだけが花だ
+能を舞うときの3つの視点「我見」(←自分から)「離見」(←相手から)「離見の見」(←客観的に)=相手が自分を見ている視線で自分を眺めてみる=★「見せる目」が伝わるコミュニケーションの極意(p197)
+「秘すれば花」=サプライズ、待つ人の心が新しくなっている:「明日の朝刊見てください1998年CM」(p200)

メラビアンの法則(p182)、メッセージの伝達は、言葉は7%、残りは声のトーンや口調、ボディランゲージによって伝わる

◇売り上げが落ちても、業績が悪化しても、お客さまからの信頼だけは失ってはいけない…何よりも大切なのは、お客さまからの信頼である-今も肝に銘じている(p209)

◇猛反対したチャレンジデーが大成功2013年7月して、自分の決断が100%正しいが揺らぐ(p227)

◇経営者にとって大事なことは、ミッション、パッション、アクションの3つ=会社の使命を大切にし、情熱を持って、時代に即して行動することが重要(p248)

◇p265:夢を持ち、目標を持ち、チャレンジしながら今を生きることの楽しさを、多くの人に知ってほしいと思っています。
世阿弥の「時分の花」←好機に咲いてやがて散る、「真(まこと)の花」←才能に加え努力で高められた能力


 
 家電メーカーが次々と厳しい状況に追い込まれる中で、実体験に基づき実績もある著者の言葉には、とても説得力がある。コミュニケーションの取りにくい時代に、伝え方のノウハウ本がさまざま出ているが、読んだからといって実践できるものではないが、わかりやすさや面白さなどに留意しつつ、生き方の姿勢に心にとめて、取り組んでいきたい。

{2017/4/8-14読了、記入は15土}