読書録

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レジリエンス入門 折れない心のつくり方 ちくまプリマー新書 262


 教えていた内容を生徒が勝手に本にして、それを嫉妬してすることで心のニーズを知り、本の出版に至った(p168)、という著者の話は、とても人間的で共感できる。これまでの人生が、居場所を見つける闘いで、31歳で離婚した話など、苦労を重ねただけに、本著が生まれたのだろう。
 さまざまなノウハウ本がある中で、引用しているたとえが幅広く、またわかりやすく解説してくれている。“ちくまプリマー新書”は、若年層をターゲットに平易な言葉で理解しやすく、かつて読んだシリーズの中でも、『2008-03-14 『いのちはなぜ大切なのか』 小澤竹俊 著』という内容は印象深く、いまだにさまざまなところで引用させていただいているが、同様にさまざまな場で使える話が満載されている。


 なお、レジリエンスとは、物理学用語でいう「その歪みを跳ね返す力」(p15)のことで、いやな気分をもとの正常な状態に戻す力と定義し、これを高める脳の鍛え方は、知識を増やすのではなく、「視点を増やす」p23=多くの異なる視点から違う見方をする訓練で、しなかやで折れにくい心が育っていくという。「ブームを作る」の著者が、幼いころのいじめに耐えていまも斬新なアイデアが出てくると子について、テレビで最近「視点をずらす」ことのノウハウを紹介していたが、同じような意味を持つのかも知れない。


 本著のラストでは、人生の醍醐味について、「生まれてよかった。生きてて本当によかった」と心の底から思える瞬間を、どれほど多く体験できるか。それに尽きると思う、と結んでいるが、その通りだと思う。


発刊した筑摩書房のサイト→ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689672/


 印象に残ったポイントなど以下に引用
◇法律や規則のルールの厳格化には、秩序が整い健全になっていくメリットがあるが、窮屈すぎて息苦しくなり自主性も損なわれてしまうデメリットがある。p36
(とても盛りだくさんな内容で、午前1時をすぎたのでここでいったん筆をおく・・)
◇ストレスは悪者ではなく、レジリエンスを高め、健康や寿命にまで良い影響を与えるp65
レジリエンスを弱めてしまう7つの考え方p68
1)否定的側面の拡大
2)二分化思考(少なすぎる判断基準、勝ち負け思考)
3)当然、べき、ねばならない思考 ←例、不登校の子どもを叱るがセクハラが原因p94
4)過剰な一般化
5)結論の飛躍
6)劣等比較←恵まれているものを考え、安心感、満足感、満たされた気分をp114
7)他者評価の全面的受け入れ←イソップ寓話『ロバをつれた親子』p115、載せて担いで最後は溺れる・・
←人生の目的(後悔のない人生、笑顔で暮らすなど)と心のニーズの2つをしっかり把握して自分軸をp119
+ゴールが明確でなく、あっても近づくことが実感できない苦p121
+途中に楽しみになる、達成感を味わえる目標があれば最後まで走り抜けることができるp122
←心のニーズは、人の成長に貢献したい、困っている人たちの支えになりたい、自分を表現したいなど
〇エリスのABCDE理論 p108 ←性格を構成する三要素p51思考、感情、行動。Bを通して気分や感情が生まれる
A:Affairs出来事
B:Belief出来事に対する解釈
C:Consequence結果
D:Dispute自分の考え方に疑問を投げかける
E:Effect 効果
◇お勧めは、完璧主義から最善主義へのシフトp131
サルトル「悲しむことはない。いまの状態で何ができるかを考えて、ベストを尽くすことだ」p132
◇椅子にゆったり腰かけ、呼吸に意識を向け、鼻から吸って口から吐く、1:2を目安に吸う息を短く、吐く息を長くp149
◇実りある単調furuitful monotony 意義ある大きなことを成し遂げるためにもp173
+良い結果が見込まれプロセスが短く可能性が高ければ、がんばれるp175
◇セルフコントロールのポイントp185
1)マインドフルネスの実践
2)主体者意識を持つ
3)マイナスの感情をポジティブな行動のエネルギー源にする
4)意味づけをしたり、結果の構成要素に仕掛けを講じることによって実りある単調に耐える
5)困ったときにサポートを求める、お互いに支え合う人間関係を構築する
マーク・トゥエインの言葉「今から20年後、あなたはやったことよりもやらなかったことを後悔するだろう」p189

引用の方が多くなってしまったが、それだけ内容が豊かでした。

{2017/1/5-7読了、記入は11}