読書録

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死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること ポプラ新書 116

 ホスピス緩和ケアを専門とする音楽療法士の著者が、これまでの経験をもとに、グリーフケアについて解説している。“おわりに”で「患者さんに限らず、危機に置いて私たちに最も必要なのは、共感して話を聞いてくれる人の存在と現実に役に立つ知識だ…困難を乗り越えることができる(p245)」と紹介し、日本ではこの部分が足りず、最善を尽くそうとして擦れ違いが起きていることが問題だとして、その一助になればと本著を記したとのこと。

 グリーフとは、「深い悲しみ」や「悲嘆」を意味する言葉で、大切な人を失ったときに起こる身体上・精神上の変化を指す(p215)と定義しつつ、引用しているトルストイの言葉「強く愛することができる人だけが、大きな悲しみを経験する。しかし、その愛こそがグリーフを乗り越える力となる」(p243)は知らなかったので、ここにメモ。


発刊したポプラ社のサイト⇒ https://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=82011160


 本著でも、キューブラー・ロスの、否定→怒り→取引→抑うつ→受容という死を受容する五段階について引用(p32)している。この読書録でも何度か引用してきた。「死ぬ瞬間」については、この読書録の前に読んでいたが、「キューブラー」で検索すると以下あり。なお著者は、患者の感情はランダムに現れるとして、「孤独感」「ショックと否定」「怒りと悲しみ」「不安と恐怖」「希望」という分け方で、具体的な事例と対処を紹介している。
2016-06-22 『自己愛モンスター 「認められたい」という病』 片田珠美 著
2016-06-01 『許せないという病』 片田珠美 著[ 心理]
2015-12-20 『執着 生きづらさの正体』 香山リカ 著[ 生き方] [ 心理]
2014-10-17 『人は死ぬとき何を思うのか』 渡辺和子 他著[ 生き方] [ 心理]
2013-12-14 『望んでいるものが手に入らない本当の理由』 心屋仁之助 著[ 心理] [ 生き方]
2012-02-17 『悲しんでいい 大災害とグリーフケア』 高木慶子著[ 生き方]
2011-04-28 『フリー』 クリス・アンダーソン[ 技術]
2011-01-31 『自殺で遺された人たちのサポートガイド』 アン・スモーリン 著[ 心理]
2010-07-09 『職場はなぜ壊れるのか』 荒井千暁 著作
2008-10-22 『セルフアサーショントレーニング』 菅沼憲治 著
2008-03-02 『生きていくことの意味』 諸富祥彦 著
2008-02-26 『生きがいの創造?』飯田史彦 著
+また、「死ぬ瞬間」で以下
2015-10-18 『世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド』 山田玲子 著[ 学習] [ 経済]
2014-02-02 『死ぬ瞬間の5つの後悔』 ブロニー・ウェア著


 患者さんにとって、特に重要な言葉として紹介している3つは、結婚式のメッセージでも使われていた印象があり、引用メモ
★p156:「ありがとう」「ごめんね」「許すよ」という言葉だ…感謝や謝罪、承認の気持ちを大切な人と共有することが、彼らの心の平穏につながる。+正直な会話から始まる〜安心して死を迎えるために必要なことだp177

◇また、聴覚が最期まで残る感覚(p16)であり、音楽によってQOLをあげたり家族全員がリラックス(p205)できるという、音楽療法の面については、前著『ラスト・ソング』に詳しそうなので、いつか読んでみたい。

ラスト・ソング (一般書)

ラスト・ソング (一般書)


 最後に、グリーフを乗り越えていく過程へのヒントとして5つの項目を紹介(p228-234)しているが、これを備忘録としたい。
1)最初の一年は大きな決断をしない
2)自分に優しくする
3)感情を殺さないー音楽を使ったセルフケアについて
4)周囲にサポートを求める
5)同じような経験をした人と知り合う
6)複雑なグリーフは専門家に頼る
←過去を振り返ると、4と5について、ネットで助けてくれた方々がたくさんいた。SNSの隆盛についても、つながりや共感を求める手段として、きわめて有効だからなのだろうとも思う。



{2017/3/27-31読了、記入は4/2日}