読書録

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性風俗のいびつな現場 ちくま新書 1162

性風俗のいびつな現場 (ちくま新書)

性風俗のいびつな現場 (ちくま新書)

 上野千鶴子教授のゼミで2003年に風俗研究を中間発表した際に「ルポでいいのでは」と言われたと著者は言う。その後、理論づけ&モデル化して発表したものの、教官や先輩にこき下ろされ、12年を経て本著にたどりついたことで「ギャフンと言わせたいp249」とあとがきに記されている。
 確かに取材を通してルポ的な要素が多いものの、現状や今後についての論考も盛り込まれている。ラストでは、本著では最後に、一度も使っていない「ある言葉」とは何かというクイズめいた部分があるが、こういう言葉が入ることで、もう一度内容を振り返るという効果があった?が、スプリングに関することであろうか?
 結論的に著者は、「否認でも黙認でも公認でもない容認をめざせ」というp231。それは、風営法改正後30年たって、否認の無効性、黙認の有害性、公認の不可能性)が明らかになったからだという。そしてラストメッセージとして
・風俗には、社会とつながる勇気を。
・福祉には、風俗と共闘する勇気を。p239 


出版した筑摩書房のサイト⇒ http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068682/
HONZによるおすすめ(←こういうサイトがあることを知る)→ http://honz.jp/articles/-/42319

 備忘録として引用
p185:答えはただ一つしかない。福祉との連携だ。…個々の現場を丁寧に分析した上で「社会問題化することができれば…
p227:今必要なのは、正しい戦場で正しい敵と戦うことだ。つまり、風俗にレッテルを貼って叩くことではなく、ソーシャルワークとの連携を通して、風俗を「社会問題としての貧困と闘うための、最前線の防衛拠点にして情報発信、収集基地」として活用していくこと。それ以外に、風俗の世界の課題を解決する方法、そして拡大する一途の貧困を迎え撃つ方法はない。 

{2016/10/17-20読了、記入は23}