読書録

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ルポ雇用なしで生きる スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦

ルポ 雇用なしで生きる――スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦

ルポ 雇用なしで生きる――スペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦

 本著で紹介される「時間銀行」や「地域通貨」で、資本主義を超えらえる豊かな生き方ができるのかどうか、深刻な不況と高い失業率に苦しんでいたスペインでの取り組みが紹介されているが、一つの理想としてはわかるが、日本でどこまで当てはまるのだろうかと考えた時には、今後もしっかり見ていく必要があるようにも感じた。

 著者の思い、お金や財産ではなく人と信頼と分かち合いに価値をおき、経済成長ではなく持続可能な社会を望み、権力ではなく市民が主体となって生活や社会を築き動かしていく、そんな生き方を理想として生きていきたい(p192:おわりに)という考えはよく伝わってはきた。ほかにも、経済至上主義が蔓延し、地域コミュニティ意識が薄れ、子どもや若者の自己肯定感が低いことが問題になっている日本のような国でこそ時間銀行の活用が期待される(p66)というのが、著者の問題意識として繰り返し登場する。


出版した岩波書店のサイト⇒ http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039080


 備忘録として、本著で紹介された関連本やキーワード
◇フリオ・ヒスペール 著『雇用なしで生きる』(2010年)p11 サイトもあり:15M運動

◇時間銀行とは、時間を交換単位に銀行に参加するメンバー間でサービスのやり取りをする仕組みで、フリオ氏によると、世界で最初に利用したのは日本の「ボランティア労力銀行:現『ボランティア労力ネットワーク』(水島照子さん立ち上げ、出産子育て家事 http://v-rounet.sakura.ne.jp/
←このサイトをみると、1973年に大阪で創立された歴史と実績があり、全国で会員が500人となっているが、いままで知らなかった…再び脚光を浴びるのかも知れないが、逆に、日本での普及・定着については、課題もあることもうかがわせる

◇廣田裕之 著『地域通貨入門ー持続可能な社会を目指して』(アルテ 2011改訂)p96 著者のブログもあり( http://www.shukousha.com/category/column/hirota/ )この第68回で韓国の事例も参考になると紹介されている。
地域通貨といえば、名前を聞いたことがあるのは西部忠北海道大学教授で、一時ブームにもなっていたように思うが、その後、大きく広がっているとは感じないのはなぜだろう。


 スペインへには去年旅行し、夜のバールに集う人たちなど陽気な雰囲気は、なんとなく南国の沖縄的な部分も感じないではなかったが、働き方と何が幸せか、というのは引き続き考えていきたいテーマ。


{16/7/15-18読了、記入は24}