スマホ時代の親たちへ 「わからない」では守れない! (大空教育新書)
- 作者: 藤川大祐
- 出版社/メーカー: 大空出版
- 発売日: 2016/04/06
- メディア: 新書
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『平成25年問題』という用語については、本著で認識させられた。2013年を境に、子どものスマホ所持率が激増して、1)利用時間が長くなることによる生活への悪影響や、2)ネットいじめ、3)ネットに関わる犯罪被害(p10)などの問題が顕在化したという。著者は、教育関連でTVなどでもご活躍の千葉大教育学部の教授で、問題と対策などをわかりやすくまとめている。
たとえでなるほどと思ったのは、p108「子どもにスマホを持たせるのは、繁華街の入口、東京でいえば新宿・歌舞伎町の入口に一人で子どもを立たせるようなもの」というフレーズ。SNSを何も知らずに始めるのは「運転免許をもたずに高速道路を走る」というたとえになじみがあったが、子どもには繁華街のたとえの方がわかりやすいと思う。一方で、オプションのフィルタリングは、WiFiやアプリが抜け穴になるなら、確かに意味がないというか、危機に瀕している(p118)ということは、その通りだろう。
最後の方では、シンギュラリティ(p153)テクノロジーの急速な発達により、人間の生活が後戻りできないほどの変容する状況についても説明し、ビッグデータの活用、Iot、人工知能について触れて、未来は『協働問題解決社会』としてその道具ももたらしているとする。そして、大人が子どもに教えるべきことは(p159)「利己的になることでなく、」利他的になることであるはずです」と主張する。
著者は、ネットいじめに触れた中では、規範が守れなかった場合でもある程度寛容であることが必要(p80)、とか、空気を読むのではなく、空気を変えること(p82)など言及しているが、ネットではそ逆に価値観が同質化するなどマイナス傾向が強まる部分もあると思う。明るい未来に向けては、著者が言う寛容さや利他的というか協力しあう関係が模索されていければ良いと感じた。
出版した青空出版のサイト⇒ http://www.ozorabunko.jp/books/education/smartphone_parent/
なおこの出版社・青空出版は、今回、初めて知ったが、2000年4月、急速なIT化が進行する中で、「メディアミックス」を合言葉に設立されたといい、相撲ファンやWEB媒体なども手がけているとのこと。
{2016/06/30-07/03読了、記入は9}