読書録

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グレートカンパニー

グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件

グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件

 副題「優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件」とは、英語の原題「The Soft Edgw(ソフトエッジ」と呼ぶ要素で、信頼、「知性」、チーム、テイスト、ストーリーの5つ(p19ほか)で、長期にわたって会社が成功するためには、数字よりも重要だとし、本著の中で詳しく論じている。イノベーションが起きるのもこの分野だというp3。ハードは数値化されやすく手っ取り早いが、簡単に真似され崩れるためだ。

 『フォーブス』誌発行人の経験からの分析には説得力があるが、訳者の翻訳家・野津智子氏があとがき(p297〜)で触れているように、「信頼がすべての土台」で「粘り強く努力を続けることや、何があってもへこたれない気概が大切だ」という誠実さや勤勉さ、忍耐強さは、日本人や日本企業がもともと得意にしてきたことが痛快というのも、同じような印象を受けた。著者自身も、品質管理など日本から解決策がもたらされた過去について、デミングを引用しながら紹介している(p38)

 なお、持続的な成功のためには、三角形の底辺には戦略的基盤として、市場、顧客、競合他社、競争優位性、変革者の5つ(マイケル・ポーターの『競争の戦略』を良書と紹介p6)が、また左辺には、ハードエッジとして、スピード、コスト、サプライチェーン、流通、資本効率の5つをあげ、バランスのとれた完全な三角形をめざすものの、本書のテーマはあくまで、ソフトエッジだと強調する。


出版したダイヤモンド社のサイトに目次あり⇒ http://diamond.jp/articles/-/77686


印象にのこったキーワードなど、備忘録として以下
<信頼>
◇情報がスムーズに流れ、または流れる者だと思われている状況で信頼は生まれるp56
◇対外的にも、信頼と透明性がこれまで以上に重要にp58
◇リーダーの気遣いが信頼を生むp70
フェイスブックツイッターのようなSNSを社員が仕事で使うのを禁じるのは、経営者が信頼していないからp74
◇仕事をした時間に報酬を払えば必要な仕事はするが、心からのアイデアや努力、革新的な解決法は生まれない⇒「それよりも、彼らを信頼し、敬意を払おう。すると、革新的な素晴らしいアイデアを快く提供してもらえるようになるだろう」p75+意識と意味を高めると、幸福に影響をもたらすようになるp76
◇ソーシャル分析は、ソーシャルメディア分析(ツイートとブログで人々がポジティブかネガティブか)とネットワーク分析(誰がインフルエンサーか見つける)の二つの面で機能p80+データマイニングはプライバシー侵害だと解釈され信頼をなくすことと紙一重
◇会社の内部でも分析、社員同士がさまざまな話題について話す仕組みでチャターも
◇p85:さまざまな問題を、部署やチームといった枠を超えて全体のなかでとらえ直すことは、強力なツールになる。

<知性>
◇採用では、試練や苦難を乗り越えた根性のある人かどうかを基準にp93=仕事をやりとげる力こそが知性である
★本書の内容を忘れても覚えておいてほしいのは、輝かしい成功を収めている人々は、どのように成功したのかを尋ねてほしいと思っているので、尋ねようp109
◇水平思考こそが革新的アイデアを生むp117

<チーム>
◇10人前後のチーム(ベゾスの二枚のピザ)が優れているのは、機動的+他のメンバーに気遣いやすいからp142
ダイバーシティはチームのコミュニケーションに悪い影響があることが多くの研究で明らかにされる一方、創造的に問題解決する力を高めることもあるp150
★高い業績をあげられるチームをつくる時の質問は、「夢中になれるものは何か」「それをどのようにして見つけたか」「いつ見つけたか」=姿勢や情熱・気概が重要←稲盛氏の生き方を思い起こす。
◇優れたチームリーダーは新たなテクノロジーを活用する方法を心得ている。規模が大きくなると、ソーシャルメディアクラウドソーシングのような新しいツールを理解するだけでなく、それ以上のことをするところにリーダーの価値がある。新しいアイデアを提供し、やる気を高めることが求められるp172
<テイスト>
◇シンプルで、余計なものがなく、明快であるーは簡単ではないp215
◇顧客は重要だが、アイデアを生みだしてはくれないp223
<ストーリー>
◇ストーリーは心に訴えかけるのに最適な手段で、従業員を一致団結させるp238
ストーリーテリングの6つのコツ:シンプル、聴き手を知る、ネガティブな要素を強調しない、偽りのない話に聞こえるように、苦難や失敗を正直に語る、練習を重ねる
★社内SNSを活用してストーリーを従業員のものにする:テクノロジーの向かう方向に注意を払う必要がある⇒ソーシャルメディアは双方向の会話でこれまでの広告と劇的に違う⇒人々に話してもらう+インフルエンサーを知る⇒第四の空間⇒交流を確かなものにするには、絶えずデジタルコンテンツを作り続ける必要がある=ブランドストーリーを語り続けていく(p266_270)




(2/29_3/10読了、記入は13)