読書録

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その情報,本当ですか? ネット時代のニュースの読み解き方

 ネット時代にフェイクニュースの問題がクローズアップされる中、テレビ放送開始1953年の前年に生まれた著者が、41年におよぶNHKでの番組制作や経営の経験を通して、放送やネットの現状と課題について俯瞰している。岩波ジュニア新書という若い世代向けの本なので、内容もわかりやすい。


 著者はフェイクニュースには3つのタイプがあるとする。p25
1)自分の主張を正当化するためにフェイクニュースを利用する
2)人々の話題になりそうなフェイクニュースを流し、面白がる愉快犯
3)フェイクニュースを作って金もうけをしようとする
 こうした中で、「人々が議論の出発点となる本当の事実を共有し、問題の解決に向けて、多様な意見を自由に出し合いながら合意形成を進めていく。こうしたことが、民主主義社会にとって基本だと思います。すべては、事実、本当の情報から始まる」p26と、基本的な考え方を示している。

 

発刊した岩波書店のサイト⇒ https://www.iwanami.co.jp/book/b345713.html



 本書では、著者が徳島初任地での体験からこれまでの仕事についても紹介されているが、志望動機については、ジャーナリストというより「知らない土地でなんでもみてやろう」という好奇心からだったp33という。 
 そして、1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故の「ニュースセンター9時」で、乗客乗員名簿が発表され、アナがのちほど詳しくお伝えするとスタジオに戻そうとしたときに、木村太郎キャスターが、どんなに時間がかかってもいいのでいま読んでください」と一番大事な情報として伝えたという。木村キャスターはいまも日曜夜のMrサンデーでコメンテーターをしているが、トランプ大統領の誕生予想など、活躍され続けているのはすごい。
 この事故で、フジテレビが「ヘリスター」を使って午前11時に生存者救出を生中継したのに対し、他社はテープを持って駆け下り午後4時に放送した、ということに「悔しい思いでいっぱい」p66と記している。
 また、国会中継の担当していたときに、事前情報で午後1時から始まり中継するはずが5分遅れになったことを苦い経験として紹介。当時上司から「国会は一寸先は闇。いつでも何が起こるかわからない。最後の最後まで気を抜くことはできない。5分あればニュースが放送できた。視聴者に意味のわからない情報を伝えるわけにはいかないことをよく覚えておくように」P174と記している。


このほか、いくつかポイントを引用して備忘録に
◇p87:自分の命を守るために、正確で役に立つ情報をどう入手し、行動していくのか。「想定外に備える」という心構えと準備が、日頃から何よりも大事だと痛感しています


◇メディアの情報信頼度P97-100
1)総務省情報通信政策研究所「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」で
新聞70.1%、テレビ65.5%、ネット33.3%⇒年代で違い30代はテレビへの信頼度低い
2)NHK放送文化研究所2015年「メディアと世論調査に対する信頼」調査、
テレビニュース73%、新聞記事71%、ポータルサイトのニュース26%、
3)新聞通信調査会「第10回メディアに関する全国世論調査2017年」
NHKテレビ70.0点、新聞68.7点、民放テレビ59.2点、ネット51.4点
+印象で新聞は情報が役に立つ、NHKテレビは情報が信頼できる、社会的影響力がある


◇ネット時代に変革を迫られているテレビP200〜
1)キーワードの一つがテレビ×ソーシャルメディア
・演出としての双方向性ではなく、視聴者一人一人が持っている情報に着目して、それぞれの利点をさらに融合させる必要があるのではないかP202、人々が必要としている情報をタイムリーに正確に信頼性を持って、一人一人にどう伝えるか、どう伝わるか、放送とソーシャルメディア全体をトータルに考えていく時代に入っていると思いますP204
2)もう一つのキーワードは、サムシング・ニュー=何か新しいことへの挑戦P205、番組制作力こそがテレビの命。インターネット時代だからこそ、プロの目で深く掘り下げたテレビならではの多様な番組制作に挑戦していってほしいP208


◇その情報、本当ですか?を確認する3か条P220-221
1)情報源は何かを確認しよう
2)必ず複数の項目をチェックして、自分とは違う考え方を聴こう
3)自分のスケール(尺度)を作ろう 
+P225:「正しい情報をもとにこれからの進むべき道を自分で考える」


 この読書録を記入している土曜、『北朝鮮 核実験とICBM発射実験中止 核実験場も廃棄と発表』というニュースが朝7時に入ってきた。南北、米朝と、朝鮮半島情勢をめぐってはさまざまな動きが続く。森友や加計をめぐる問題から財務省セクハラ疑惑などで与野党の対決色が強まり、何が事実なのか、どう動くのか・・・正しい情報をもとに考えていきたい。


{2018/4/11-12読了、記入は4/21土曜}