読書録

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ネット選挙が変える政治と社会

ネット選挙が変える政治と社会―日米韓に見る新たな「公共圏」の姿

ネット選挙が変える政治と社会―日米韓に見る新たな「公共圏」の姿

副題「日米韓に見る新たな「公共圏」の姿」にある通り、アメリカや韓国の事例も引きながら、双方向の議論が増えて社会が良くなっていくという肯定的な議論に対し、疑問も提示している。また、政治心理学の手法を使った日本のネットニュース接触で、「敵対的メディア認知(=中立的な報道にも相手陣営にバイアスがかかっていると認知する現象」と「党派的な選択的接触(=一致しない情報を避け、一致する情報に接触する態度」に基づく分析では、ヤフーの圧倒的な影響力のせいか、「中立性」が明らかになったとしている。


本著の目次や著者については、出版した慶應義塾大学出版会のサイトが詳しく掲載⇒ http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766420678/


備忘録的に、いくつか引用
◇2012年米大統領選挙では、選挙情報の入手先ニュースとして、ケーブルテレビ41%、テレビローカル38%、インターネット36%、テレビ全国31%、で新聞(地方23%、全国13%)をネットが上回る状況p51
◇2012年尾韓国大統領選挙では、FBやツイッターなどオープンなコミュニケーションに対して、個人と私的なクローズドなSNS(カカオトーク)が威力を発揮した。p116
◇党派性に基づいた選択的接触よりも、アイエンガーらは、争点ベースの選択的接触の方が強いと指摘p123
◇メディア接触比率でネットが2012年には33.4%に増加(博報堂DYメディアパートナーズ調査)し、男性15〜20代、女性15〜19歳では5割を超え、このうち10代の半分以上が携帯での利用。p159
参院選では、ネット選挙を有効に使ったのは政党側で、上からの統制力、影響力が顕著に観察され、有権者側の運動は低調だった。背景には政治的有効感覚の低さで、米韓では6〜7割が、日本では3割程度。政治的意思表明に抵抗感があり選挙運動との境目が曖昧p175〜
◇「選挙の専門化」と「公共圏」の両者には、コントロールと拒否という逆の方向性も内在しており、結び付けて「新たな公共圏」を創出するには、健全な市民団体やメディアなど中間組織の役割が重要になるp179、テレビ番組で池上さんの発言がネットで言及されるように、テレビもネットもp182、ネットだけでも選挙期間をなくしてしまえば、日常的な政策コミュニケーションが可能になるp188



{3/15-16読了、記入は21}